美は心身の健康に良い影響を与える──。これは近年、世界的にも注目されてきている考え方です。
世界保健機関(WHO)は2019年、世界各地で実施されたアートによる健康や福祉への影響を調べた3,000以上の研究成果から、生涯にわたって芸術が「病気の予防と健康増進」「病気の管理と治療」に大きな役割を果たすことが明らかになったとしています。
アートとは、映画や音楽、絵画などの鑑賞、創作活動の他、歌ったり踊ったりすることも含まれており、美を楽しむ行為のことを指しています。調査に結果、美しいフレスコ画を2時間ほど見学した人では、ストレスホルモンの指標とされるコルチゾール値が60%低減していたり、抽象画や現代美術よりも分かりやすい具象画を鑑賞した人は血圧や心拍数が低下する傾向にあったそうです。それだけではなく、芸術と関わることで、日常生活や自らの人生に満足するなど、幸福感が高まることを示す研究も多くありました。
(一財)MOA健康科学センターでは、花を鑑賞した際の効果を研究しています。成人男女51人を対象に「花の写真を見た時」「他人がいけた花を見た時」「自分がいけた花を見た時」の心と体の変化を比較。「自分がいけた花を鑑賞した時」が最も副交感神経が活発になり。最もリラックス効果がありました。肩の筋肉の硬さ(筋硬度)も柔らかくなり、自己の体調変化を記入する質問票でも「自分がいけた花を見た時」が最も癒やされていたことが示されました(研究の詳細はこちらから)。
音楽や文学、美術、舞踊などはもちろん、季節ごとに変わりゆく景色や野の花をめでたり、季節の花をいけて楽しんだりする行いは、確かに心と体に良い影響を及ぼしてくれます。
まずは、美しいものに心を向け、それを楽しんでみましょう。そんな生活が、健康と幸福へといざなってくれます。
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