食を楽しみながら心身ともに整える
── いろいろな種類の野菜をと仰るのは、多種類のフィトケミカルを摂取でき、複合的、多面的な作用が期待できるからですか。
それも大切なポイントですが、あれこれ考えるより分かりやすく、一番理にかなっていますからね。野菜には旬があり、旬の時期には栄養・機能性成分が豊富です。季節ごとの野菜で味や香り、色などを楽しみ、年間を通じて食べていくことで、効率よく摂取できるはずです。「いろいろ」には季節と品種の意味が込められています。
私は皆さんに、一番の主治医は自分自身ですよとお伝えしています。何を食べたら体や気持ちがどう変化したかなど、細かなところまで実感を持って気付けるのはご本人だけです。毎日意識して観察していくと、これを食べた後はおなかや肌の調子が良いとか、体が軽くなった、力が湧いてくる感じがするなど、何かしらの変化があるはずです。それを日々の健康管理に生かしていけば、病気の予防や健康増進に役立ち、幸せに暮らしていけることでしょう。
アトピー性皮膚炎に悩んでいたある方は、野菜をたくさん食べるようになって症状が軽減しました。でも一番変わったのは、精神面だというのです。
── 野菜を食べることで、心までも変わっていくのですか。
体と心は影響し合っています。腸内環境と精神の関連も知られるようになり、栄養療法を診療に取り入れる精神科も増えてきました。気になる症状の一つ一つを見てどうしようかと考えるより、心も合わせた全体を整えていけば、いつの間にか気になっていた問題や症状も改善していくものです。この辺りは漢方診療と同じ考え方です。