第10回 更年期症候群に対する岡田式浄化療法継続施術の効果

(一財)MOA健康科学センター理事長
鈴木 清志

前回までにお話しした岡田式浄化療法を受けた前後での症状の変化をまとめると、日本人では身体の痛み・不安・うつ・動悸などの症状のいずれも、施術後に改善したと答えた方が約70%でしたが、施術を受けた動機、場所、施術時間で改善率が異なり、男性と女性でも改善率は異なりました(前々回参照)。

 

国際調査では、日本人は改善率が最も低く、アジア人と米国人は80%以上、中南米人では90%以上の人が改善したと答えました(前回参照)。エネルギー療法の国際調査としては世界初の報告で、国によってこれほど改善率に差があったことに、世界中から多くの反響がありました。

 

今回は、浄化療法を継続して受けた時の効果についてお話しします。それを比較的簡単に調べる方法は、同じ病気や症状を持つ人たちを2つの群に分け、施術を受けた人と受けなかった人との間で改善率に差があるかどうかを調べることです。この方法で2群間に差がなければ、それ以上の詳しい調査をしてもあまり意味がありません。

 

東京療院の故畑山道子医師は、更年期症候群に対する浄化療法の継続施術の効果を調査しました。浄化療法の本格的な臨床研究は、この研究から始まったので、まずこの内容を紹介します。(一財)MOA健康科学センター研究報告集に日本語(2009;12:13-19)と英語(2009;12:5-12)の論文があるので、興味のある方はお読みください。

1.研究の目的と調査方法

2003年春に、東京療院・MOA高輪クリニックの畑山先生の外来を受診した更年期症候群(のぼせ、動悸、イライラなど)の患者さん127人の中で、25人は3カ月間毎日施術を受け、その後の9カ月間は毎週約3回の施術を受けました(施術群)。残りの102人は東京療院に毎月~数カ月に一度受診し、その際に施術を受けました(対照群)。

 

それぞれの群で1年間に症状がどう変化したのかを調べました。症状の重症度は、クッパーマン指数(更年期症候群の重症度を判定する質問票)を用いました。

 

2.研究の結果

それぞれの群のクッパーマン指数の変化を示した図1の「箱ひげ図」をご覧ください。データのばらつき具合が分かります。上下の横の線は最小値と最大値を示し、真ん中の箱の中にデータの50%が含まれます。箱の中の横の線がちょうど真ん中の数値(中央値)です。数値は小さい方が症状は軽いことを示します。

 

調査開始時の数値は2群間に差はなかったのですが、1カ月後に22以下になった人の割合は施術群では75%だったのに、対照群では25%に満たなかったことが分かります。3カ月後には数値はさらに低下しました。施術群は、3カ月以降は施術を受ける頻度が週に3回程度に減りましたが、1年後の数値は引き続き有意に低かったことが分かります。

 

もう一つ重要なことは、1カ月後と3カ月後の最大値には2群間に差がなかったことで、施術を毎日受けても症状が改善しなかった人たちがいたことも分かります。

更年期症候群は、女性の閉経期に女性ホルモン(エストロゲン)分泌が低下するために起こる症状なので、程度の差こそあれ女性は誰でも経験します。つらい症状に悩む方は、施術を週に3回以上受けることをお勧めします。ただし、施術を毎日受けても症状が改善しない人もおられるので、「必ず良くなる」とは申しません。

 

畑山先生は女性ホルモン値も調べており、症状が良くなった人でも女性ホルモンは低下したままでした。つまり、施術によって女性ホルモン値が変化したのではなく、自律神経系が安定し、精神的にも落ち着くことで症状が改善したと思われます。

 

では浄化療法は、重篤な病気に対して効果はあるのでしょうか。

 

次回はアフリカ系の人に見られる鎌状赤血球貧血症という遺伝病に対する浄化療法の効果についてお話しします。どうぞお楽しみに。

【プロフィール】
すずき きよし
1981年千葉大学医学部卒。医学博士。榊原記念病院小児科副部長、成城診療所勤務、(医)玉川会MOA高輪クリニック・東京療院療院長などを経て、(一財)MOA健康科学センター理事長、東京療院名誉院長。(一社)日本統合医療学会理事・国際委員会委員長。94年日本小児循環器学会よりYoung Investigator’s Awardを授与された。

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