第8回 岡田式浄化療法の効果と安全性に関する本調査:国内での結果

(一財)MOA健康科学センター理事長
鈴木 清志

岡田式浄化療法はエネルギー療法の一種で、MOAが提唱する健康法の重要な柱です。前回は、2006年に行った岡田式浄化療法に関する予備調査の結果を紹介しました。その内容をまとめると、1,70%以上の人は施術後にさまざまな症状の改善を自覚した。2,女性が60分以上の施術を受けた場合に最も改善率が高かった。3,施術後に症状が増強した人は数%で、ほとんどの人は数時間以内に軽快した。

 

この結果を踏まえて2007年に本調査を行い、なんと6万人以上の方にご参加いただきました。その結果は、統合医療で世界的に権威のある雑誌Alternative Therapies in Health and Medicineに掲載されました(2012;18(4):38-50)。私の知る限りでは、今まで一民間団体がこんな大規模な調査を行った報告はありません。ですから、世界中の専門家から注目され、多くの励ましのお言葉をいただきました。(一財)MOA健康科学センター研究報告集(2012;16:41-53)に日本語の報告書があるので、興味のある方はお読みください。

1.研究の目的と調査方法

前回お話ししたように、この研究は1,浄化療法で症状がどの程度改善するのか、2,症状が改善・増強しやすい条件はあるのか、などを調査するために計画しました。

 

参加者は30分以上の施術を受けて、その前後で1,からだの痛み、2,イライラ・不安・うつ(精神症状)、3,動悸・手足の冷え・めまい(自律神経症状)の症状の程度を5段階で自己評価していただきました。

2.調査の結果

予備調査では、参加者の層にかなりの偏りがあったので、調査員の方には、若い人、男性、非MOA会員にできるだけご参加いただくようにお願いしました。その結果、偏りはやや改善し、貴重なデータを得ることができました。

図1をご覧ください。からだの痛み、精神症状、自律神経症状のいずれも約70%の人が施術後に改善したと答えています。予備調査よりも改善率が5%ほど低かったのは、参加者の層の違いが影響したかもしれません。症状が増強した人の割合は0.7%~2.5%で、そのまま様子を見るか施術の追加などで、ほとんどの人は数時間以内に軽快しました。

どういった時に症状が改善しやすかったかについては、予備調査よりも詳しく調べました。図2に示すように、人から勧められて自宅で30分の施術を受けた時の改善率が最も低く、施術の効果を期待して自宅以外の場所で50分以上の施術を受けた時の改善率が最も高いという結果でした。でもどんな条件でも、男性よりも女性のほうが改善率は常に高かったのです。

まとめると、浄化療法の効果は1,男性か女性か、2,自宅かそれ以外か(施術の場所)、3,効果を期待して施術を受けたのか人から勧められたのか(動機)、4,施術時間はちょうど30分かそれ以上か、の4つの条件によって左右されたわけで、施術の効果は精神的な要素に影響されると考えられます。しかし条件によって改善率が異なるというのは、薬や手術を含めて、ほとんど全ての治療法に見られます。つまり、人間はそれだけ精神的な生き物であり、浄化療法に限らずどんな治療でも、納得した上で前向きな気持ちで受けると自分で治ろうとする力(自然治癒力)が高まり、結果は良いことが多いのです。

 

日本人を対象に行った浄化療法の効果に関して、予備調査と本調査はほとんど同じ結果でした。では他の国の人々ではどうだったのでしょうか。実は、国によって結果が大きく異なったのです。次回はそのことについてお話しします。どうぞお楽しみに。

【プロフィール】
すずき きよし
1981年千葉大学医学部卒。医学博士。榊原記念病院小児科副部長、成城診療所勤務、(医)玉川会MOA高輪クリニック・東京療院療院長などを経て、(一財)MOA健康科学センター理事長、東京療院名誉院長。(一社)日本統合医療学会理事・国際委員会委員長。94年日本小児循環器学会よりYoung Investigator’s Awardを授与された。

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