対談 上智大学グリーフケア研究所 島薗 進 所長、一般財団法人MOA健康科学センター 鈴木 清志 理事長

支え合える地域コミュニティー作り

鈴木 助け合うという視点で言えば、今後の医療の大きな方向性として、地域包括ケアの推進があります。今後は過去にあったような経済発展は見込めないので、今でさえ膨大な医療費をこれ以上増やすことはできません。私たちの子孫のためにも、高額な医療は控えたほうが良いと思います。こうした現状を考えると、病気の予防とケアがますます重要になってきます。誰が誰をケアするのかの新たなシステムが、地域包括ケアだと思います。支え合う地域コミュニティー作りは、健康長寿社会を目ざす上で欠かせないと思うのですが。

島薗 これから認知症の人がますます増えると言われていますが、すべての人を病院や介護施設で受け入れることはできません。地域社会全体がグループホームのように機能するなどして、共同生活を送ることのできる環境づくりが必要になってきます。ケア力、地域力、人間力が試される世の中になってくるのです。
 地域の中でつらい立場にある人をケアすることは、何かを与えるという一方通行ではなくて、そういう人たちと共に生きることで得るものも大きいと思います。強い人が弱い人を助けているように見えても、実は弱い人が強い人を助けていることが少なくないのです。

あわせて読みたいコーナー

PAGETOP