一般社団法人日本統合医療学会 仁田 新一 名誉理事長

MOAのボランティア共助モデルに期待

── 地域包括ケアシステムと統合医療はどのように関わっているのでしょうか。
 地域包括ケアシステムでは、文字通りケア型の医療が行われていますが、その核になる自助、共助においては、統合医療の社会モデルが力を発揮すると考えています。
 統合医療の社会モデルとは、日常の生活の場での、生活者を中心とした疾病予防や健康増進が目的で、地域住民を中心とした、地域コミュニティーの多世代連携による多様な地域住民のQOL(生活の質)の向上を目指すものです。
 さまざまなモデルが実在しますが、(一社)MOAインターナショナルと(医)玉川会が連携して運営する東京療院は、医療モデルと社会モデルを備えたボランティア共助モデルであり、その取り組みに注目しています。
 MOAでは、価値観が近い人がグループとなり、相手を認め合いながら、誰かの健康づくりや幸せのためにボランティア活動を行っています。
 人のつながりやグループの在り方は英語で考えると分かりやすいと思います。「to know」、知ることから始まります。次に「to understand」、一致点や相違点を理解します。そして「to agree」、理解した上で合意するのです。合意することでものすごく強固な集団が形成されます。実際に普通の集団では「to agree」までいくのは難しいのです。でもMOAは「to agree」までいった代表的な集団だと理解しています。
 モンスターペアレンツやあおり運転の問題などに顕著に表れているように、現代は不寛容性の時代といわれていますから、価値観と情報を共有し、寛容性を備えているMOAの人たちのボランティア共助モデルには、とても期待しているのです。

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