静岡県静岡市
くすり・たべもの・からだの協議会の要請で
NPO法人くすり・たべもの・からだの協議会(理事長・山田静雄静岡県立大学特任教授)が主催する講演会が3月26日、静岡市内の江崎ホールを会場に、オンラインと会場上映方式で開催され(一財)MOA健康科学センターの鈴木清志理事長が「健康で幸せな生活のために〜自然治癒力と絆の重要性」と題して講演しました。
今回の講演は、一昨年、静岡県沼津市で開催された「心身ともに健康なまちづくりスタディセッション」での鈴木理事長の講演を聴講した山田理事長の要請を受けて実現したものです。(一社)日本統合医療学会業務執行理事で日本赤十字看護大学の川嶋みどり名誉教授も「暮らしの知恵を活かしたケアで治る力を」と題して講演しました。
鈴木理事長は、病が身体的要因だけではなく、生活習慣、環境などに起因するものであり、セルフケアや現代医療だけでは対応できていない現状を確認。それ故に統合医療が大事になってくると述べ、自然治癒力を重視し、現代医療と各種方法を組み合わせて治療と生活の質の向上を目指す医療モデル、コミュニティーで互いのセルフケアを支え合う、絆をキーワードとする社会モデルについて詳説。支え合いによる健康効果について、出生率が高くなり、病気になりにくくなり、QOL(生活の質)が向上、健康寿命は延び、犯罪率や自殺率が減ったという研究結果を紹介しました。
新型コロナウイルス感染症では、肥満や糖尿病、高血圧症など生活習慣病の患者が重症化しやすく、野菜を多く食べている人では重症化が少なかったことを確認し、感染症対策として、手洗いやマスクの励行などはもちろん、統合医療的には、野菜を多く含む食事を複数人で食べ、人と共に運動し、さまざまな社会活動に参加し、免疫機能を高める岡田式健康法などの各種健康法を実践する大切さを述べました。
食事に関連して、有機農業・MOA自然農法に触れ、有機農業の食品を多く食べる人では、高血圧症、糖尿病、心臓病の発症率が低かったという研究結果を紹介。生活習慣病には、自然農法の食材を用いた食事が効果的ではないかと述べました。
心臓カテーテル治療を受けた1,400人の5年後の調査で、独身者は既婚者に比べて死亡率が3倍高かったこと、町内会や趣味の会などに参加すると認知症になるリスクは3/4に低下し、役員を引き受けると約半分に低下したという研究結果を紹介し「医療もまちづくりも、絆に支えられたコミュニティーが重要だ」と述べ、講演を締めくくりました。
聴講者からは積極的に質問が寄せられ、内容に対する関心の高さが感じられました。
同協議会は、QOLを重視した医療が求められる中、大学・医療機関の専門家らが連携して、市民の健康な体づくりと、豊かで幸せな生活の構築に寄与するべく、2015年3月に設立されました。
主催/NPO法人くすり・たべもの・からだの協議会