静岡県熱海市
環境と人の健康を守る自然農法の花の価値を学ぶ
4月12日、MOA美術館で開催された「令和4年度 第1回財団美術文化研究会」のプログラムとして、橋本力男日本オーガニックフラワー協会理事長が講演しました。MOA美術館光輪花クラブの開催や公共施設などへのいけ花のボランティアを通じて美のあるライフスタイルを広めるMOA美術文化インストラクターなど約40人が聴講。農薬や化学肥料を使わずに栽培されるオーガニックフラワーの特徴などを学びました。
生花店などで販売されている花は、長年、美しさや珍しさが優先され、栽培に際して用いられている農薬や化学肥料の環境や人体への影響はあまり顧みられてきませんでしたが、昨今、室内のいけ花によってアレルギーを引き起こすなど、安全性が問われるようになり、オーガニックフラワーが注目されるようになっています。こうした状況を予見したかのように、岡田茂吉は、早くから自然農法による花栽培の必要性を説いています。
理事長を務める同協会ではオーガニックフラワーを「化学肥料・農薬・遺伝子組み換え種子・苗を使わないで3年以上栽培された草花・花卉(かき)類」と定義。農薬や堆肥の養分が花に含まれていないため、いけ花として飾っても花瓶の水が腐敗せずに長持ちするのが特徴です。水の腐敗による病原菌の発生がないため病院に飾ったり、農薬や化学物質にアレルギーを持つ人でも触れることができる他、福祉施設で知的障害のある人にも安心して花に親しんでもらえるなど、農福連携の視点からも活用されています
今回の講演は、そうした状況を踏まえて、岡田茂吉が構想した自然農法による花の栽培への意識を高め、生産者と連携したオーガニックフラワー栽培の推進、療院などでの健康づくりや光輪花クラブでの活用を願って行われました。
食と農の安全性に関心を持ち自然農法について調べる中で出合った岡田茂吉の哲学に感動し、MOA自然農法の生産者になったという橋本理事長は、ボリビア在住の自然農法生産者が自然栽培の花の生産・流通を実施している様子を視察して、自身も2007年からオーガニックフラワー栽培に取り組み、現在では東京など都市部を中心に出荷するようになった経緯を紹介。その上で、オーガニックフラワーの現状や特徴を伝え「私たちの生活には、花の本当の美しさを知ることが大切。自然の花をもっと使おう」と語りました。
聴講者からは「地元でも有機農業を推進する機運が高まっているので、農家さんと一緒にオーガニックフラワーにも取り組んでみたい」「健康づくりや環境を守るためにもオーガニックフラワーを利用していきたい」との感想が聞かれました。
同研究会は(公財)岡田茂吉美術文化財団が主催。全国のMOA美術文化インストラクターが参加し、定期的に開催されているもの。翌13日にはMOA美術館の展示室での対話型美術鑑賞と、光輪花のいけ花実習に臨み、本年予定されているいけ花の創立50周年記念花展への出展に向けて研さんを積みました。