「みどり戦略」を学び合う─自然農法役員研修会

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静岡県熱海市
国と願いを一つに自然農法を推進

自然農法による美味しいまちづくりのさらなる拡大へ向かおうと、(一社)MOA自然農法文化事業団(奈良安規理事長)「役員研修会」が2月19日、静岡県熱海市の瑞雲会館で開催。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、全国の普及会にライブ配信され、役員をはじめ、社員である普及会代表者や生産者、愛好者、(株)MOA商事など流通関係者らが参加しました。

 

農林水産省は昨年、SDGsなど環境を重視する動きが加速していく中、地球温暖化や生産基盤の脆弱(ぜいじゃく)化などに対応し、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する「みどりの食料システム戦略(以下みどり戦略)」を策定。2050年までに、農林水産業のCO2ゼロエミッション化、化学農薬使用量の50%低減、化学肥料使用量の30%低減、有機農業の取り組み面積割合を25%(100万ha)へ拡大など、環境負荷の低減を図るもので、今春の法制化を目指しています。

 

研修会では、農薬や化学肥料を使用せずに健全な作物を生産する自然農法に長年取り組み、有機農業の推進をリードしてきた同事業団への期待を表すように、農林水産技術会議の青山豊久事務局長が訪れ、みどり戦略の実現に向けた新たな政策の推進方法について基調講演を行いました。同戦略の概要、予算など支援措置の内容、環境負荷低減に寄与する技術研究などについて紹介。25年までに100、30年までに200の市町村にオーガニックビレッジ宣言を促すなど、生産・流通・消費がつながりを持って有機農業を推進する施策についても紹介し、協力を願いました。

 

 

3人の若い生産者が事例を報告。安心・安全に徹底的にこだわり、堆肥も用いずに環境に即して自然農法に取り組む「みなみなふぁーむ」の平井憲介さん(北海道・旭川普及会。リモート発表)、人と生態系が調和した持続可能な農業を通じて人々の健やかな暮らしに貢献したいと「安芸の山里農園はなあふ」を設立し、地域の食と農業を未来につなぐ取り組みを展開する森昭暢さん(広島県・福富普及会)、自然農法体験学校ありのまま分校での学びを得て「福元農園」を開設して以来、学校給食や食育にも貢献するようになり、オーガニックビレッジを目指す福元雅岳さん(鹿児島県・加世田普及会)が発表し、自然農法の明るい未来を感じさせる内容に大きな拍手が送られました。

 

 

 

 

青山事務局長と事例発表者による意見交換も行われました。新規就農した際に有機農業に関して相談できる場や人がいないなど、有機農業の普及拡大に関する課題などについても議論され、発表者から、その役割を担うMOA自然農法文化事業団などを国がアドバイザーとして指定してはどうかという提案がなされるなど、充実したものになりました。

 

 

自然農法のレジェンドともいえる埼玉県・上里普及会の須賀利治さんは、周囲には自然農法、有機農業の実施者がおらず、農協にも役場にも理解がなかったかつての状況とは一変し、国が自然農法を推進するようになったことに「隔世の感がある」と述懐。「若い3人の発表に感動しました。農林水産省と共に、皆で手を携えて自然農法を拡大していきたい」と語りました。

 

 

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