第7回 岡田式浄化療法の効果と安全性に関する国内予備調査

(一財)MOA健康科学センター理事長
鈴木 清志

岡田式浄化療法はエネルギー療法の一種で、MOAが提唱する健康法の重要な柱です。エネルギー療法の研究はかなり難しいのですが(一財)MOA健康科学センターでは、長年にわたって浄化療法の研究を続け、その結果を国内外の医学専門誌に発表してきました。最近では、海外でも岡田式浄化療法の研究内容が注目されています。

 

本コラム2の「岡田式浄化療法の効果と安全性」で概要はお話ししましたが、今回からは私たちが今までに行った代表的な研究結果をシリーズで紹介します。まずは、岡田式浄化療法が広く知られるきっかけとなった「生体エネルギー療法の全国調査─有効性・安全性とその関連因子(日本統合医療学会誌2009;2:37-43)」についてお話しします。

1.研究の目的

エネルギー療法の研究には、大きくは2つの方法があります。一つは最新の機器・技術を用いて施術による変化を厳密に測定する方法、もう一つは多くの人を対象に施術後の変化を分析する方法です。

 

今回の研究は後者の方法を用いて、1浄化療法で症状がどの程度改善するのか、2症状が改善・増強しやすい条件はあるのか、3国や民族によって改善率や改善する条件は違うのか、などを調査するために計画しました。そして本格的な国際調査の準備を兼ねて、2006年11月に国内で予備調査を行いました。準備段階とは言え、驚くことにわずか2週間で約1万4千人が参加しました。こんなに多くの人を対象としたエネルギー療法の研究は、世界的にも他にありません。

2.参加者の背景と調査方法

調査に協力くださった方の75%以上が女性で、55%以上が60歳以上、浄化療法の施術資格を持つ人(MOA会員)が80%以上を占めました。参加者の層にかなりの偏りがあるので、すべての日本人を対象に調査をしたら、違う結果になった可能性はあります。

 

参加者は30分以上の施術を受けて、その前後で1からだの痛み、2イライラ・不安・うつ(精神症状)、3動悸・手足の冷え・めまい(自律神経症状)、の症状の程度を5段階(0:なし、1:少し、2:多少、3:かなり、4:とても)で自己評価していただきました。施術前にからだの痛みがあった人は75%で、精神症状があると答えた人は50%、自律神経症状は40%でした。

3.調査の結果

図をご覧ください。からだの痛み、精神症状、自律神経症状のいずれも70%以上の人が施術後に改善したと答えています。症状に変化はなかったと答えた人は21.5%~24.9%だったので、多くの人が症状の変化を感じたということです。

 

どういった条件で最も改善率が高かったのかを調べると、女性が60分以上の施術を受けた場合でした。女性は本当に改善しやすいのか、それとも施術者への気兼ねなどによるものかは、判断が難しいところです。

施術後に症状が増強したと答えた人は1.5%~4.5%でした。ただし、症状の増強は一過性で、そのまま様子を見るか施術の追加などで、ほとんどの人は数時間以内に軽快しました。興味深い結果として、施術後にからだの痛みが増強した人は60歳以上のMOA会員が多かったのです。浄化療法の理論によれば、施術によって体内の毒素(霊のくもり)が溶解し、一時的に症状が強くなることがあります。それをよくご存じの方は、毒素が溶けた証だから、変化がないより良かったと考えたかもしれません。

 

このように、得られた結果をどう解釈するのが妥当なのかをよく考える必要があります。そのあたりが研究の醍醐味(だいごみ)でもあり、難しさでもあります。

 

次回は、2008~09年に行った浄化療法の国際調査の結果をご紹介します。今回の予備調査の結果とどこが同じでどこが違ったのでしょうか。どうぞお楽しみに。

【プロフィール】
すずき きよし
1981年千葉大学医学部卒。医学博士。榊原記念病院小児科副部長、成城診療所勤務、(医)玉川会MOA高輪クリニック・東京療院療院長などを経て、(一財)MOA健康科学センター理事長、東京療院名誉院長。(一社)日本統合医療学会理事・国際委員会委員長。94年日本小児循環器学会よりYoung Investigator’s Awardを授与された。

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