備わっている力を引き出すことが、健康への近道
日本の消化器外科の第一人者として知られ、統合医療の発展にも尽力している伊藤壽記(いとうとしのり)医師の著書『自然治癒力を引き出す〜老化も病も予防できる』(幻冬舎)。本書では、人間が本来備えている「自然治癒力」を最大限に引き出すことで、誰もが抱える不安である、老化と病気を予防できることが説かれています。
長年、最先端の外科医療の現場で多くの膵臓(すいぞう)移植を手掛けてきた伊藤医師。東日本大震災を「被災者の心身のダメージに西洋医療が十分に機能しなかった現実に直面し、現行の医療の限界を感じた」と振り返ります。この経験が、心と体の調和を重視する「統合医療」へ向かうきっかけとなりました。こうした歩みの中で生まれた本書は、健康で幸せな生き方への道しるべとなる一冊です。
伊藤医師は、体の不調は「バランスの不均衡」から始まると指摘します。病気になってから治療するのではなく「未病」や「予備軍」の段階で心身を整えることが重要だと語ります。その際に力を発揮するのが、私たちに本来備わっている自然治癒力です。自分の体と心の声に耳を傾け、その力を引き出すことこそ、健康への近道なのです。
本書の前半では「体を治すには、心を治す」「歩幅を広げて歩いてみよう」「病気にならない体の作り方」といった基本的な考え方が紹介され、後半では「がんは予防できる」「寝たきりは予防できる」「認知症は予防できる」といった、具体的な生活習慣の改善法へと進みます。読み終える頃には、自分の暮らしの中で何を変え、何を続けていけばよいのかが見えてくるでしょう。
生活習慣病に対して、ただキュア(治療)を目指すのではなく、日常的なケアの大切さを説いた本書。岡田式健康法を日常に取り入れ、身近な人と共に健康的な生き方を考えていくMOAが進めるライフスタイルケアにとっても、まさに実践の指針書といえます。

『自然治癒力を引き出す〜老化も病も予防できる』
伊藤壽記著 幻冬舎 1,056円(税込み)
(幻冬舎書籍紹介ページはこちら)






