RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 川野 泰周 副院長

丁寧に生きることで得られる自慈心

── 気付きを通して感謝の念が高まるのですね。
 日常生活の中にマインドフルネスの呼吸瞑想を取り入れることは、言い換えれば丁寧に生きるということです。動作一つ一つ、行動一つ一つを丁寧に行っていくと、自分の存在をそのまま受容することができるようになります。自慈心=セルフコンパッションといいますが、自分への慈悲の気持ちを持つことができるようになると、それが絶対的な自己肯定感へとつながります。
 他者との比較で得られた「私はすごいんだ」という感情は自尊心です。時にはそれも大事かもしれませんが、それだけだと自分が苦手なことに出合った時や、人よりも劣っていると感じた時などに、心がすごく傷付くのです。しかし、自慈心とは自分を大切にする心の在り方ですから、自尊心とは違って「私はすごいんだ」という自己価値を示すための材料は必要ではないのです。

── まずはありのままの自分を受容することが大事だと。
 人間は自分の体験から他者の心を予測しますので、自分の心のありようが分かって初めて他者の心が分かるのです。自利利他円満という仏教用語がありますが、自慈心が養われてくると利他の精神も自然と育まれてくるのです。
 先ほどマインドフルネスを通して、さまざまなことに気付き、慈しみや感謝の念が高まってくると述べましたが、それと共に知足といいますが、足りないことへの不満を感じることもなくなり、自然と幸せ度も上がってくるのです。

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