自然農法の食材を使った、無添加の手づくり味噌

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岐阜県  O・Cさん(59歳、女性)

〔手づくり味噌のイメージ〕

 私たちのMOA健康生活ネットワーク(以下、ネットワーク)では、地域の公民館を使ったボランティア活動として、岡田式健康法食事法を取り入れた食育セミナーを開催していますが、平成21年2月に初めて「味噌づくり体験会」を開催しました。このころの岐阜県内では、手づくりの味噌の体験会や講習会が盛んでした。ネットワークのKさんとIさんも関市で開かれた講習会に参加していたので、今度は私たちの地域でも開催していこうという呼びかけから実現したセミナーでした。当日は12人の参加者があり、私も受け入れを手伝いながら、参加者として一緒に味噌を作りました。
 私は、このときまで味噌を手づくりしたことはありませんでした。昔、味噌は家で作ったり、地域ぐるみで作ったりしていたそうですが、私は作らないのが当たり前、買うのが当たり前でした。味噌には米味噌、麦味噌、豆味噌、合わせ味噌、赤味噌や白味噌など、いろいろな種類や製法があっても、それぞれの違いや味についての知識は詳しくありません。以前、お友だちから手作り味噌をいただいたことがあるのですが、それはおそらく合わせ味噌で、米味噌をずっと使い続けてきた私は、見た目からわが家と同じ味噌だと思って味噌汁にして食べました。そして、「この味噌で作った味噌汁は美味しくない。私に合わない」、「手づくり味噌=あまり美味しくない」というイメージを持ちました。
 毎日、味噌汁にして飲み続けるものだけに、今買い続けている味噌が一番美味しい、この味に勝るものはないと思い続け、「味噌は絶対に手作りしない」と決めていたのですが、この食育セミナーの体験を機に考え方が変わりました。

〔もっと早く知って作っていればよかった〕

 「味噌づくり体験会」では無添加の米味噌、赤味噌、合わせ味噌の3種類を選べたのですが、ほとんどの方が米味噌を選び、私もそうしました。手づくりした味噌は、その日に食べられる訳ではありません。1年間熟成させた平成22年3月、ようやく味見をすることができました。
 樽を開けて味噌を取り出し、味噌汁にして食べました。“こんなに手づくりの味噌が美味しいものなのか”と思いました。私がいつも買っている味噌は、MOA自然農法で作られた米と大豆を使った米味噌ですが、今回の食育セミナーでも同じMOA自然農法で作られた煮大豆を使って作ったものだったので、味もほとんど似ていました。味噌を手づくりすることに対して消極的でしたが、味見をした後は、正直“こんなに簡単に美味しくできるなら、もっと早く知って作っていればよかった”と後悔しました。
 また、平成22年の「第2回味噌づくり体験会」はすでに終わっていたことも残念でなりませんでした。第1回目に作った味噌が本当に美味しくできるか不安だった私は、第2回目は作らなかったのです。体験会では1人につき煮豆約4kg(仕上がりは4.5kg)を使って味噌を作りましたが、4人家族のわが家では1年も持ちません。平成23年の第3回目がとても待ち遠しかったです。

〔第3回「味噌づくり体験会」〕

 平成23年2月、第3回目の「味噌づくり体験会」を市内の公民館で開催しました。ネットワークの方々がそれぞれお友だちを案内して、総勢27人が参加しました。「無添加の味噌を作りたい」と公民館に問い合わせて参加された方もいました。私も受け入れのお手伝いを兼ねながら参加しました。
 味噌づくり体験会では、最初に、講師を迎えてミニ食セミナーを聴きました。「江戸時代には、味噌の効用は広く知られており、食卓に欠かせないものとしての地位を確立し、“医師に金を払うより、味噌屋に払え”といわれるぐらい、毎日の味噌汁が健康の元であると考えられていた」と話していただき、味噌の効能や味噌を仕込む時期や季節との関係、ちょっとしたひと手間でおいしくなる方法などのお話をいただきました。味噌には胃潰瘍の予防、消化促進、コレステロールの抑制、疲労回復、脳の新陳代謝の促進、老化予防の効用があったり、美肌効果があることを知りました。また、「味噌は家のことは何でも知っています。夫婦喧嘩も聞いています。環境が悪いと美味しくなりません。“味噌、美味しくな~れ”と声をかけたり、愛情を注いだりすることで、全然味が変わりますよ」などのアドバイスがユニークで、笑いながら楽しく聴けたセミナーでした。
 実習では、4つのグループに分かれて作りはじめました。米味噌の場合、煮大豆を「みそ羽根」を使ってペースト状にすり潰し、米麹と塩を入れてよく混ぜ合わせます。多くの方が初体験でしたので、広い調理室は、最初は静かでしたが、一緒に調理することで打ち解けてくるようで、次第ににぎやかな話し声が飛び交うようになりました。
 中でも味噌を入れ物に詰めていく作業が盛りあがりました。できるだけ空気を抜くために、混ぜ合わせた味噌を投げるように入れるのですが、これがストレス発散になるほどの気持ち良さがありました。

〔みなさんの反響〕

 味噌づくりが終わった後、昨年の第2回目の参加者の方の味噌を使って味噌汁の試食を行いました。米味噌、赤味噌、合わせ味噌の3種類の味がそれぞれ違うのはもちろんですが、同じ米味噌でも、作った人が違うと味も違っていました。それぞれに違う美味しさがあり、「自分たちが作った味噌もこのようになったらいいね」と話が弾みました。
 参加された方からは、次のような感想をいただきました。
・ 楽しかったです。来年は娘にも声をかけてみようと思います。
・ 味噌は生きているんですね。そしてとても繊細なものだというのが分かりました。大事に扱います。
・ 初めて参加しました。例年、豆や米を用意し業者さんに作っていただいていたけれど、こんなに簡単に自分で安心・安全な味噌が作れてとても嬉しかったです。
・ 2年目なので少し流れも分かりすごく楽しかったです。味噌のためにも頑張っていい環境で熟成させます。去年、作った味噌は表面のカビもなくいい匂いをしています。まだ食べていないのですが、すごい楽しみです。
 今回の味噌づくりの雰囲気が感じられる、みなさんが楽しまれた様子が感じられる反響でした。実際、作り終わったみなさんを見ると、来年食べるのが楽しみという期待に満ちた顔で、改めて開催して良かったなと思います。
 昔の味噌づくりでは、町内の人が集まり、大きな鍋と樽を使ってまとめて作っていた地域もあると聞きます。みんなが大豆を洗い、火の番を立てながら煮て、すりつぶして、混ぜ合わせて仕込む。それを2~3日かけて作る中で、自然に地域のコミュニケーションが図れたそうです。地域の絆が弱まっている昨今、そのような昔ながらのコミュニケーションが今回の味噌づくり体験会でもできたのではと思いました。

〔手づくり味噌の良さ〕

 この味噌づくり体験では、時間を短縮するため、事前にみなさんに無添加の煮大豆を購入してもらって参加していただきました。私は、夫が家庭菜園をしている畑の地主さんが作った大豆を使いました。地主さんは長年、自然農法をされている農家さんで、「(枝豆で収穫しないで)大豆にしたよ。これで味噌を作ろう」と声をかけていただき、一緒に煮豆を作ったのです。煮豆の時点から手作りとなる今回、前回とはまた違う美味しい味噌ができるのではないかと、今から楽しみで仕方ありません。
 手作りで味噌を作るとなると、市販の味噌を買うよりも、値段は少し高めになります。でも、毎日家族が味噌汁にして飲みますので、手づくりで無添加、そして自然農法で栽培された食材を使っている味噌は、体には最高のものだと思います。そうした食材は、食べると体が喜ぶといいますか、食べて元気になる感じがします。成人して自由な食生活ができるようになった息子たちも、最近、味の違いに気づいてきているようで、「やっぱり自然食は美味しいんだな」と言ってくれます。毎日食べ続けることが大事。だからこそ、私たちが食育セミナーで取り入れている食事法は健康法といわれるゆえんなのかなと、改めて食事の大切さを感じています。

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