情緒障害や発達障害を抱えた児童を受けもって

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大阪府  B・Hさん(62歳、女性)

〔児童家庭支援センターの教員として〕

 家庭内の児童虐待が深刻な社会問題になっていた、平成14年のことでした。虐待を受けた子どもをはじめ、ADHD*1などの情緒障害、発達障害を抱えた不登校の子どものための児童家庭支援センターが設立され、そこに私の勤務しているK小学校の分教室ができることになりました。それは私の住んでいる地域では初めての試みでした。
 実は、私の長男は14歳の時に亜急性硬化性全脳炎*2のために寝たきりの状態になり、7年半の介護を受けましたが、亡くなりました。その時に同僚の先生方に随分支えてもらい、私が担任を務める障害児支援学級のお母さんたちからも励ましていただきました。こうした障害児を持つお母さん方の苦労される様子をいつも見てきたので、“情緒障害の子どもたちの立ち直りのために何かさせてもらいたい”と思い、校長に分教室への転勤をお願いし、快く許可していただきました。
 分教室には小学生が2クラス、中学生が3クラスあります。子どもたちと生活をともにする児童指導員をはじめ、児童精神科医、カウンセラー、看護師、栄養士、調理員など約30名のスタッフがいます。子どもたちは精神的な安定を回復するために週1回必ずセラピーを受けています。毎朝、校長が子どもたちの様子を見に来てくれます。教育委員会の方も状況を見に来られます。
 狭い教室の中にいるためにストレスがたまります。それを解消し、少しでも社会生活に慣れるためにと、週1回(毎週火曜日)は、本校に通い、それぞれのクラスの児童と一緒に音楽や図工、体育の授業を受けたり、給食を食べたりしています。子どもたちは気持ちが落ち着かず、教員やクラスメートに暴言を吐いたり、けがをさせたりするなど、トラブルが絶えませんでした。
 
*1 ADHD=注意欠陥多動性障害
*2 亜急性硬化性全脳炎=小児の重症な進行性中枢神経疾患で、遅発性ウイルス感染症の1つ。

〔Kさんに誘われ、子どもたちと瑞泉郷を体験する〕

 私が本校に勤務しているころから、KさんはMOA美術文化財団(現:岡田茂吉美術文化財団)のインストラクターとして長年にわたってお花のいけこみのボランティアをされていました。Kさんのいけられるお花によって、児童だけでなく私も癒されるのを感じていました。Kさんにお会いするたびに「いつもきれいなお花ありがとうございます」とお礼を申し上げていました。そして、次第に親しく会話をするようになりました。
 私が分教室へ転勤した時も、Kさんから「何か私にできることがありますか?」と声をかけていただきました。分教室は山の中にあり、私も小さな畑を作り、田舎暮らしをしていました。分教室の子どもたちは虫や蛙、小動物などの生き物が好きで、私は“こうした自然とのふれあいの中で、子どもたちが癒されるのではないか”と感じていました。
 その後、Kさんから「芋堀りをしませんか?」と誘われました。さっそく、600坪の広さの瑞泉郷*3へ連れて行っていただき、子どもたちと一緒に芋堀りを体験しました。その時、KさんをはじめMOA健康生活ネットワークのみなさんが大勢来られ、「袋の中にお芋いっぱい入っているかな?」など、子どもたち一人ひとりに優しく声をかけてくださいました。
 これまで、子どもたちの中には実の親からも愛情をかけてもらえなかったり、食べ物を与えてもらえなかったりなど、生命の危険にさらされるような生活を送ってきている子もいるため、その言葉に人としての愛情を感じ、とても気持ちが和むようでした。
 私も本当に嬉しくありがたく思いました。やき芋を食べたり、一人ひとりが好きな花を摘んで花瓶にいけたりしました。子どもたちは自分でいけたお花を見ながら「指導員の先生に持って帰ろう」とか、「もうすぐ外泊の日でお家に帰れるから、お母さんに持って行こう」と喜んでいました。後日、その時に撮った写真を送っていただきました。こうした素晴らしい出会いに感謝しました。
 その後も、年2回、20人近い児童を連れて瑞泉郷を訪問し、自然農法普及員や健康生活ネットワークの方々に受け入れていただき、芋の苗を植えたり、芋堀をしたりして自然とのふれあいの時間を大切にしてきました。
 分教室ではいろいろと困難なことがありましたが、子どもたちに愛情をもって接するように心がけてきました。こうした体験を通して”できるだけ自然にふれること”そして“やっぱり愛だよね”という合言葉が生まれてきました。
 また、Kさんには、毎年開かれているMOA児童作品展の時にも大変お世話になりました。分教室の児童も出品させてもらいました。公民館などを借りて応募作品をすべて展示する活動は本当に素晴らしいと思いました。自分の作品をバックにして家族と一緒に写真を撮る子どももいます。とくに入賞した子は大喜びです。人から自分の絵が認められたという喜びは、その子のその後の人生に大きな影響を与えると思います。入賞をのがした子も「よしっ来年は頑張るぞ!」と意欲を見せるのです。
 
*3 瑞泉郷:農薬や化学肥料に頼らず、人や環境にやさしい自然農法の実態を地域社会の方々と一緒に取り組むなど、岡田式健康法の実際を紹介する所。

〔光輪花クラブで学び、MOA会員として登録する〕

 また、私はいつも相手のことを思いやるKさんの生き方・考え方に共鳴し、もともと草花が好きだったこともあり、平成21年7月から月1回(土曜日)、Kさん宅で開催されている光輪花クラブでお花を習うようになりました。
 「MOA光輪花クラブ ガイドブック」を毎回2ページほど読みながら、一輪のお花の見方やいけ方などを学んでいます。平成22年3月のクラブでは、ガイドブックの「花を楽しむ中で起こる心身の変化」を読みました。とくに、「心から体、意思から行動へ」の項目の中に掲載されている「不登校やニート、うつ病の方が自然散策をし、自然農法の菜園で作業し、自然の中で健康法を受けることで、今までにない改善が得られたりするのです」を読み、“本当にその通り”だと思いました。その内容は、最初は嫌がっていた分教室の子どもたちが、瑞泉郷の土にふれる中で変わっていった体験と一致して良く理解できました。私も「MOAの考え方は素晴らしい」と感想を述べ、みなさんと話が弾みました。
 その話し合いの後、KさんからMOA会員の登録を勧められました。私はKさんと接する中で、その優しい人柄に惹かれるとともに、MOAの方々はボランティア精神が旺盛で、お互いを認め合うという考え方が素晴らしいと以前から感じていました。そして、活動だけでなく、その奥にある“岡田式健康法を通して心身ともに健康な人になってほしい”という願いも理解できるようになっていました。ちょうど、3月で退職するため今までより時間も取れます。そこで“心から信頼しているKさんと一緒にボランティアをさせてもらいたい”と思い、その場でMOA会員に登録することにしました。

〔浄化療法で目の充血と肩こりが改善し、健康の大切さを実感する〕

 私は、長年にわたって目の充血や肩こりなどで困っていました。そこで、Kさんから岡田式健康法の一つである浄化療法のことを聞き、受けてみました。すると、そのたびに身体に変化を感じ、大分、楽になりました。その後も、Kさんのお宅で浄化療法を受けています。そして、この体験から“私もきちんと探査と浄化療法ができるようになりたい”と思い、Kさんと一緒に学びを始めました。先日、夫が山の中でけがをしました。Kさんの勧めもあって、初めて夫に浄化療法を施術してみました。これからも継続していきたいと思っています。
 自宅において無農薬の野菜を栽培し、安全・安心なだけでなく味もとても良く、夫と一緒に喜んで食べています。自然農法のお米も食べるようになりました。
 思えば、私は結婚してから20年近く病気がちで入院と退院を繰り返してきましたので、健康の大切さが身に沁みてわかりました。心身ともに健康でなければ何をしても身にならないと思います。健康であれば次へとステップアップして行けます。健康こそ何よりもありがたいものだと感じています。

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