山口県 W・Mさん(40歳、女性)
〔子どもたちのアトピーに食事法で取り組む〕
平成10年に結婚し、W家に嫁いできたことで、私の食生活は一変しました。
私は栄養士の資格を持っていますが、それまで自然食に全く関心を持っていませんでした。すでにW家ではMOA自然農法の食材を使っていたのですが、当時の私の考え方は、「食事は植物性と動物性とのバランスを重視し、不健康な体はまず薬によって治し、偏った食事が続いた時はサプリメントなどの栄養剤を飲んで体のバランスをとれば良い」と思って、食品も添加物・保存料・残留農薬など何の意識も持たずに食べていました。しかし、夫や義母と一緒に自然食に親しみ、MOAに関わることによって岡田式健康法の食事法を学び、自然力、生命力ある食物の大切さを実感するようになっていきました。
大きな転機となったのは、2人の子どもを授かった時です。
平成14年に長女を出産しましたが、生後2~3ヶ月の時に、アトピー性皮膚炎の症状が出ました。とてもかゆがるわが子を見て、私は自然農法の食材を使った食事を取り入れるようにしました。症状が一番ひどい時期は、特に徹底して食べさせました。おかげで長女の肌は約1年で見違えるほど良くなっていきました。
続いて生まれた長男も生後2ヶ月でアトピーになりましたが、岡田式健康法によって、きっと良くなっていくという確信があり、長女と同じように取り組みました。体がつらそうな時期もありましたが、約1年半後にはきれいな肌へと変わりました。以前食べられなかった牛乳や卵は、今では2人とも何の支障もなく食べられるようになっています。
この体験で、子どもたちの健康な体づくりをするには、自然に近い素材を使う伝統的な日本型食生活が大切だと分かりました。
〔岡田式健康法をもっと知ってもらいたい〕
大きな心の支えになったのは、平成15年から月1回行っている健康増進セミナーのボランティア体験でした。セミナーでは、地域のMOA健康生活ネットワークの方が集まって、岡田式健康法の食事法にもとづく献立づくりをしてきました。わが家でも、それをそのまま家庭に取り入れることで、子どものアトピーが改善され、家族みんなが健康になったと思っています。
ですから、社会の人々に岡田式健康法をもっと知ってもらいたいと、「MOA食育ネットワーク」で、公民館などを借りて食育セミナーを行うようになりました。
また、栄養士として地域で食育活動をしていきたいという願いから、平成18年3月に市民団体「在宅栄養士ネットワークの会」へ入会しました。そこでは定期的に生活習慣病予防講座や、行政(主に保育所、小学校)からの依頼を受けて料理教室などを開いていますが、「アレルギーっ子を持つ親の交流会」が毎月行われていることも知り、交流会の運営するスタッフとして活動を始めました。
〔「アレルギーっ子を持つ親の交流会」への参加〕
初めて参加したその月の交流会では、アトピーの子どもを持つお母さん方のストレスや悩みを聞かせてもらいました。
例えば、乳児をもつ母親は、子どもの肌の状態が悪くなったら、自分の母乳のせいだと思って食事に神経質になったり、食事ができる年齢の子どもさんを持つ家庭では、アトピー用の食事に家族が合わせようとするとストレスになり、家庭がぎくしゃくするなど、いろいろな話を聞きました。
また、薬には頼りたくないけれど頼らないと不安でたまらないお母さんがほとんどで、そのことにとても悩まれていました。私も同じ経験をしてきたので、お母さん方の苦労は痛いほど分かりました。
そこで、私の子どもが自然食の生活で改善できたことを伝えました。みなさんはとても驚かれて、「その時の記録を見てみたい」と言われたので、翌月の交流会には、症状が出てきた時の写真や、その後の経過を記録集にして持って行きましたが、とても良い反響をいただきました。また、この日は自然米の白むすびを作って参加したのですが、これも大好評で、お母さんと一緒に来ていた小さな子どもたちがとても美味しそうにパクパク食べている姿を見て、責任者の方が、「あなたが地域でされている料理教室を是非ここでしてください」と言われ、7月の交流会はMOAの食育ネットワークがしている食育セミナーをさせていただきました。
〔私の体験事例をフェスタで発表〕
平成19年10月には、山口市阿知須のきららドームで、1万人の来場者のあった「全労済フェスタ山口2007」が開催され、そこに設けられた「NPOボランティアゾーン」(55団体参加)にアレルギーっ子の会も出展し、私の事例としてパネル1枚分を「子どもたちのアトピー性皮膚炎が岡田式健康法で改善」と題して、アトピーの改善していく経過を写真付きでまとめて出展しました。写真で紹介した症状の経過がとても判りやすく、たくさんの方に立ち止まって見ていただき「日ごろの食生活がいかに健康を左右するかがよく分かりました。食べ物に気をつけなければいけませんね」と口々に言われていました。
〔調味料を手作りで〕
地域でも食の活動に携わっている方々との交流ができました。
中でも市内で「すろーふーどらいふ」(日本の風土に合わせた生活)の活動をされている方との交流で加工品の作り方を教わってから、秋にわが家で食べる1年分の味噌を作るようになりました。梅のとれる季節には1年分の梅しょう油(ポン酢の代わりに)や手作り味噌で梅味噌(酢みそのかわりに)も作っています。今まで調味料は買うものと思っていた私は手作りできることに喜びを感じ、教えてくださった方と一緒にMOA健康生活館にも来ていただいて、ネットワークの方々と一緒に味噌作りをしました。
わが家は三世代5人家族です。夫の帰宅が遅い時でもリズムを崩さず、みんなで「いただきます」と言って自然の恵みに感謝しながら、朝と夜は和食が基本の食卓を囲むことができます。また、食事を作る時は義母が子守りをしてくれるので、心を込めた食事づくりができますが、発酵調味料を作ることにより、食事作りがより楽しくなりました。自然農法の食材は生命力が豊かな分、味も濃厚でとてもおいしいので、手間をかけず簡単な調理で済みます。仕上げに手作り調味料で味付けすると野菜中心の食生活がごちそうに感じられ、子どもたちも喜んで食べてくれます。
〔食事法5つのポイント〕
私は栄養士として、みなさんに食事のことをお話する時には岡田式食事法の5ポイント
①生命力あふれる食材を選ぶ
②食べ物と作る人に感謝して、食を楽しむ
③うすあじに心がける
④米などの穀類や野菜を食べる
⑤食事と運動のバランスに気をつける
を中心に伝えています。特に、大自然のエネルギーを持つ食物の生命力が、私たち人間の心身の健康に影響していると実感しており、「身体の中からの健康づくり」を伝えていきたいと思っています。具体的には、生命力を意識した素材へのこだわりや、調理方法、食卓を彩る工夫などを伝えれば、悩んでいる方々の助けになると考えています。