地産地消で進める「健康野菜市」

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山口県  A・Fさん(68歳、女性)
S・Nさん(66歳、女性)

〔食に対する気持ち〕

【Aさん】
 私は20年ほど前まで神奈川県に住んでいましたが、食事のあり方に対する意識がとても高い地域でした。近くにテレビ局の社宅があって、いろいろな情報が集まるということで、勉強会のような場もありました。どこどこの農場産の肉は品質が良いとか、卵はどこどこ産が良いとか、牛乳は低温殺菌ではないと品質が変わるなど、様々な情報交換がされていました。また、実際に自然農法をされている農家さんの畑に行って、無農薬なのに虫一つついていないキャベツを見たこともありました。畑も歩くと、ズズっと足が埋まるほど柔らかい土でした。こうした体験から、私は例えば10円の安い卵を買うよりも、高くても安心できる卵を半分でも食べたいという気持ちが出てきました。
 
【Sさん】
 私は若い時にアトピーになってしまい、すごく悩んでいました。そこで食生活を変えてみようと、お米やお野菜、調味料などを自然農法のものに切り換えたところ、それから徐々にアトピーが良くなっていきました。綺麗になるまで20数年かかりましたが、あらためて食事の大切さ、自然農法の素晴らしさを感じまして、少しでもみなさんに伝えていこうと、平成18年からは自然農法で生産された野菜や食品を販売しているMOAグリーンマーケットに勤めました。

〔野菜市の開催〕

【Aさん】
 私たちのまちは、地元の新鮮で安心できる食材を食べようと市を挙げて地産地消を推進しています。田舎ですので農家さんや家庭菜園をしている家が多くあり、近くに漁港もあり新鮮な魚が食べられることもあって、食についての関心が高いまちです。
 私たちは岡田式健康法食事法が地域に拡がることを願って、MOA自然食推進員をしているのですが、平成21年の春ごろ、食推進員の会合で、ある方が「自分も何かせんにゃいけんと思って家で野菜市をしたら、意外と人が買いに来たんだよね」と話していました。その時、“あぁ、それは気軽に食の大切さを伝えられていいな”と思って、一緒にいたOさんに「野菜市をやってみようか」と言ってスタートさせました。
 それから、Oさんが引っ越される平成21年末まではOさんの家で、翌22年の春からは、近所のSさんと一緒に私の家で「健康野菜市」と名付けた町内向けの野菜の販売をしています。
 
【Sさん】
 野菜市は月に1回、行っています。タマネギ、ジャガイモ、キャベツ、キュウリ、トマトなどの季節の野菜をそれぞれ10袋ずつ用意して、毎回簡単なチラシを作って町内にお知らせしています。
 町内には270世帯ほどありますが、私たちの家の周辺に50枚ほど配っています。前日か前々日に配っても忘れられることもありますが、私たちは「忘れてもいいよ。覚えていたら来てね」という語り口で声をかけてチラシをお届けしています。

〔野菜市の評判〕

【Aさん】
 小さな野菜市ですし、自然農法で生産された野菜なのでスーパーに比べると価格が少し高いです。また、近くに100円で売っている野菜直売所もあります。それでも私たちの野菜市には毎回、17~18人ぐらいお客さんが来てくださいます。市内で自然農法をされている農家さんが作られたこの味が好きな方たち、健康を意識して無農薬で作られている野菜を求めている方が来てくださっているのかなと思っています。
 私たちも買って食べていますが、確かにジャガイモは炊いた時に、型崩れもしないですし、とてもやわらかくなって大好きです。ニンジンも香りが良く美味しいです。
 
【Sさん】
 野菜市では少人数で開催しているので、御勘定で忙しく、なかなか買いに来られた方の感想を聞くことができません。そんな中でも、「この間のホウレンソウは美味しかったよ」と言ってくださったり、ジャガイモを好きな方が「ここのジャガイモは無農薬だし美味しい」とみなさんに宣伝してくださったりして、嬉しいです。美味しいものを食べて健康になってもらいたい、食べた人に喜んでもらいたい、幸せになってもらいたいという思いで売っているので、そうしたお客さんの感想が嬉しいですし、やりがいになっています。
 
【Aさん】
 私たちの町内も高齢化が進んでいまして、270世帯ある町内のうち、65歳以上の一人暮らしの方が50世帯ぐらい、75歳以上の二人暮らしも15世帯ほどあります。そういう方々は買い物も大変です。ですから、野菜市が終わった後は、野菜を籠に入れて持って歩きます。世間話で長居してしまうので時間がかかり何軒かしか回れないのですが、それでも体の調子が悪い人は喜ばれます。「私は足が悪くて、なかなか買い物に出られなかったから来てくれて助かったわ」と喜んでいただいています。
 暑くて葉物が少ない夏や、野菜自体が少ない冬は開催しません。野菜はできるだけ新鮮で美味しいもの、体に良いものを届けたいと思っているからです。
 お野菜というのは工場製品じゃないので、トマトとかキュウリは夏には採れますが、冬は基本的に採れません。今は自分がほしいものを、ほしい時に、ほしいだけ買える時代なので、冬にトマトを求めることはできますが、やはり野菜については、その季節で自然に採れる新鮮な野菜の方が美味しいですし、安心だと思っています。

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