兵庫県 F・Tさん(37歳、男性)
〔大腸ガンの告知と手術、そして転移〕
私は芦屋で両親と三人で暮らしており、神戸にある父の経営する会社に勤めています。平成18年の春ごろより、盲腸のあたりに違和感がありましたが、10月に入って、お腹全体に痛みが広がり、食事もできないような状態になったので、病院に行き、胃カメラや大腸内視鏡検査、注腸検査(大腸バリウム検査)を行いました。
検査結果を受けて、担当医から「大腸ガン」を告知されました。映像を見せてもらいましたが、ガンが大きくなり過ぎて腸閉塞の状態で、末期ガンの可能性も示唆されました。まさか、自分の身にこんなことが起こるとは、信じられるはずもなく、本当に動揺してしまいました。「いつまで生きられますか」と尋ねたところ、担当医から「それは分からない」という言葉が返ってきました。即入院し、3日目に緊急手術をすることになりました。
手術は盲腸部にある握りこぶし大のガンを含め、大腸の半分と小腸1mと転移したリンパ節16ヶ所を5時間かけて摘出。ガンの進行度は、5段階中の4番目まで進んだ状態でした。
術後の進行ガンの治療としては、次の転移の予防という意味合いから2年間の抗ガン剤投与が通例ということで、飲み薬の抗ガン剤を服用しました。
ところが平成19年7月上旬の検査で、左の腎臓と背骨の間にあるリンパ節に遠隔転移していることが判明しました。腫瘍は12mmで、しかも悪性とのことでした。手術するには難しい場所ということもありましたが、同じ臓器や近くのリンパ節への再発ではなく、原発巣から遠い反対側への遠隔転移なので、外科の先生は「切ってくれと言われたら切るけれど、普通はしないのです」と、手術をしても無駄だというような感じの話でした。担当医からは、再入院して更に強い抗ガン剤を投与する治療を勧められ、絶望感に襲われました。このまま弱っていってしまうのでは・・「死」という言葉が頭をよぎりました。
〔自然治癒力を高める岡田式健康法に求めて〕
入院中、いろいろな患者さんを見てきましたので、どうしていけばよいか本当に悩みました。ガン治療の本を読み漁り、医師や両親と話し合いを重ねました。
そうした中で選択したのは、私の自然治癒力に懸ける、それを高めることに精一杯努力してみようということでした。
具体的には岡田式健康法の実践で、食事法や美術文化法、中でも浄化療法は自然治癒力を高める上で欠かせないと思ったからです。浄化療法については、退院後に神戸にある健康増進センターに毎週通って受けました。
スタッフから浄化療法に重点をおいたパーソナルケアを提案していただき、8月13日から増進センターなどで行なうことになりました。浄化療法の療法士には青年の仲間やスタッフが中心となってボランティアをしてくださり、夕方6時から毎日2時間、浄化療法を受けました。日に日に仕事帰りに立ち寄ってくださる方が増えていきました。私のために貴重な時間を割いて取り組んでいただき感謝で一杯です。
浄化療法を徹底して受けることで、背面腎臓部にかなりの熱が出て、腰などの痛みや下痢を繰り返しながら、良くなっていったように思います。お陰さまで、肩や腰の周囲が非常に柔らかくなり、なによりも体力がついてきました。特に肩は、「めちゃくちゃ柔らかい」とみなさん口を揃えて言われます。見た目ではガン患者に見えない程にまで回復しました。
〔食事法について〕
食事に関しては、管理栄養士の方から、岡田式食事法に基づきアドバイスをいただきました。
自営業で両親とともに朝早くから仕事をしているために、これまでは外食、肉食中心の食事でしたが、できる限り手作りで日本食中心へと食生活を変えていくことができました。今までも食品添加物のあまり入っていない食材を選ぶようにはしてきたのですが、さらに自然農法や有機栽培の野菜を極力使うようになりました。
またケアが始まってから、Nさんは奥様が作られた自然農法野菜をメインにした食事を欠かさず持参してくださっていました。
9月17日より、大勢の方に食材や調理などの協力をいただくことで、みなさんとテーブルを囲んで夕食を食べるようになってからは、まるで合宿を行なっているようでもあり、家族のような雰囲気になりました。
岡田式食事法をわが家に取り入れる中で、本当に自然食の持つパワーは凄く、日本型食生活がいかに健康に良いものかがよく分かりました。
〔医師から「根治の状態」と告げられる〕
術後の転移から、以後2ヶ月ごとに体への負担が少ないMRIの検査を受けてきましたが、1年余が経過した平成20年8月のMRI検査で、12mmだった腫瘍が、「画像ではほとんど確認できない程に縮小している」と告げられました。“完治するということではなくても、ガン細胞と共生して、仲良くしていけばいいかな”という気でいましたので、とても驚きました。担当医や看護師から「本当にすごい事ですよ。ほかの人の励みになります」と言われ、大変嬉しくなりました。両親も「お前の選択した自然治癒力を高める努力は正しかった」と言ってくれました。
平成21年4月4日のMRI検査では、転移した腫瘍が消えてなくなっており、8日には担当医から「医学上、根治の状態なので様子をみましょう」とコメントいただくという驚くべき結果になりました。
人生を左右する選択を迫られましたが、西洋医学とともに岡田式健康法や温熱療法などの様々な治療法を取り入れることができる統合医療の重要性について身をもって痛感しました。浄化療法を知っていたお陰で、最善の道を選ぶことができたと思います。
〔生かされている感謝を抱き、人に尽くす充実感の中で〕
今回の経験で、心の面でも大きな変化がありました。
一つは、入院の不自由さを実感したことから、何気ない日々の生活に対して感謝の気持ちを持つことができるようになりました。手術後の痛みは忘れがたい痛みでした。痛み止めが入った点滴を続けていても、切り口がキリキリと痛むのです。咳をしただけでも、普通では考えられないくらいの痛みです。その痛みは退院後もしばらく続きました。トイレに立つのもつらいのです。そうしてみると、日常的に行なっている一つひとつの事が、実はありがたいことに気づかされました。お風呂に入れる、おいしく食事がいただける、仕事ができるといった当たり前のことに対して感謝ができるようになりました。何より“人間というものは生かされているのだなあ”という実感と感謝が生まれ、漠然と一日一日を過ごす生き方はもったいないと気づきました。感謝が感謝を生むというのでしょうか、感謝の気持ちを持っていると感謝させていただく事柄が次々に起こってくるということも分かりました。大学の同級生が、わざわざ福井県のお寺に行って、ガンに効くと言われている湧き水を大量に汲んできてくれたこともありました。
今一つは、自分の性格が温和になったような気がします。その理由は、ガンになったことで今までの自分を振り返ることができたからだと思います。以前は些細なことでよく腹を立ててイライラしていましたが、今では、そういったことにならないよう心がけています。
今回ご協力をいただいた青年の仲間やスタッフの励ましや心遣い、夕食をともにしながらの、さりげない会話の中で、他人である私に尽くしてくださる思いなどにふれて、私自身も“元気になって人のために尽くしたい”という新たな気持ちが芽生えました。そこで、岡田式浄化療法3級資格の取得にチャレンジし、資格を取得してからは健康増進セミナーなどでみなさんに浄化療法をしています。人の苦しみに向き合う中で、生かされている喜びを実感する毎日です。