タイ王国
代替医療分野の研究、人材育成を共に推進
(一社)MOAインターナショナルはこのたび、(一財)MOA健康科学センターと共に、タイ王国保健省タイ伝統医療・代替医療局との間で、代替医療、統合医療分野における情報や技術を共有すると共に、学術研究、人材育成を共に推進することに合意。これに関する「協力協定」を締結しました。同局は早速、SNSなどで、調印式の様子を紹介しています。
調印式は10月18日、タイ伝統医療・代替医療局の会議室で行われ、同局のソムラーク・チュンサマーン局長が挨拶。三者が長年にわたり協力関係を築いてきたことを確認した上で、今回の締結により「この協力関係がますます広がり、学術交流、研究、人材育成、他の分野の発展に寄与することを強く願っている」と期待しました。
これに対して、中島宏平MOAインターナショナル理事長は、明治維新以降、伝統医療が置き去りにされ、治療を中心とした西洋医学が主流となっている日本では、慢性疾患が増え、社会的、心理的なサポートが求められると共に、スピリチュアリティを踏まえたターミナルケアの重要性が増してきていると指摘。伝統医療を守り、予防や健康増進、ケアとしての医療やコミュニティーを大切にしてきたタイの精神、ありようを学びながら「人間の尊厳性と節度ある生き方を大切にする新しい医療の実現に、精いっぱい取り組んでいきたい」と語りました。
また、代替医療の有効性など、研究の側面から鈴木清志MOA健康科学センター理事長は、MOAの美術文化法によってシータンヤー精神病院の患者の症状が改善したことをきっかけに、うつ病に対する花の効果に関する研究が始まったことや、7月にタイで開催された国際シンポジウムで紹介した日本の統合医療の現状、MOAの健康法の意義に大きな反響があったことを確認し、こうした交流を積み上げながら「スピリチュアリティを含めた人間の尊厳性を大切にする医療、コミュニティーの絆に支えられたケアを大切にする医療の実現に向かって取り組んでいきたい」と挨拶しました。
その上で、チュンサマーン局長、中島理事長、鈴木理事長が、代替医療・統合医療の学術交流・研究・人材育成に関する協力協定書に署名しました。その後、中島理事長、鈴木理事長は、チュンサマーン局長らと親しく懇談。ソムサック・クリシャイ同局伝統医療部長の案内で、タイ健康推進センターなど、タイ伝統医療の保健医療施設を視察しました。
◆タイの統合医療の充実願い
◆心一つに各種交流を継続
タイでは、日本と同様、がんや脳疾患、心疾患などの疾病が増加傾向にあります。加えて、生活習慣の欧米化により、米や野菜、魚を主とした伝統的な食習慣も崩れつつあり、生活習慣病の増加に拍車を掛けています。伝統医療や代替医療の有効性を研究しつつ、医療現場で活用すべく、2002年、保健省のもとに、その推進母体として「伝統医療・代替医療開発局」が設置。国家健康基本法に基づいて、西洋医学だけではなく、マッサージやハーブなどの伝統医療の研究、医療現場での活用が積極的に進められ、各種代替医療も活用されるようになっています。伝統医療・代替医療局は、周辺国を中心に各国と協力関係を築き、アーユルヴェーダやヨガ、ホメオパシー、生薬などを取り入れると共に、アジアのハブとしての役割を果たそうと取り組んでいます。
MOAインターナショナルは、MOA健康科学センターと共に、かねてよりタイ伝統医療・代替医療局と協力関係を結んでおり、2006年に、統合医療の先進国であるアメリカ合衆国の国立衛生研究所(NIH)補完代替医療オフィス(OCAM)及び補完代替医療センター(NCCAM)を共に訪問し、代替医療の実際を視察。同医療局一行が、統合医療のモデル施設である東京療院、自然農法の研究農場である大仁農場や統合医療施設の奥熱海療院、MOA美術館を訪問し、その学びをタイの統合医療の充実に生かすなど交流を継続し、合意書を取り交わしました。
その後、MOAタイ財団は、保健省が国際展示場「IMPACT(インパクト・ムアントンタニ)」で毎年開催し、約10万人が訪れる「生薬フェア(ハーブエキスポ)」に参加し、岡田式健康法を紹介する一方、保健大臣や監察官、医師らのMOA研修なども行ってきました。そうした中で締結された今回の協力協定を期して、タイ古式マッサージなどの伝統医療の研究がさらに積み上げられると共に、タイ国内の病院に岡田式健康法を取り入れるための人材育成もさらに進むこととなり、タイ国内はもちろん、アジア全域での健康問題の解決につながるものと大きく期待されています。