MOA美術館開館40周年を記念して能楽公演

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静岡県熱海市
人々の幸福を願った創立者の思いに沿って

5月1日、MOA美術館能楽堂で「箱根美術館開館70周年・MOA美術館開館40周年 記念能楽公演」が開催され、伊豆山土石流災害復興支援として招待された熱海市民をはじめ、約500人の観衆が鑑賞しました。

 

主催者を代表して内田篤呉館長が挨拶。箱根美術館とMOA美術館の創立者・岡田茂吉が、度重なる病苦や災害、妻子との死別を経験して人間の幸福を探求し、現在の美術文化活動や自然農法などを提唱するに至った経緯に触れつつ、復興半ばの土石流災害、コロナ禍、不安定な世界情勢にあって、今回上演される能「翁(おきな)」が天下太平、国家安寧、五穀豊穣(ほうじょう)など人々の幸せを祈念する内容であることを紹介しました。

 

 

岡田が美による人間の魂の向上を願って造営した神仙郷が、昨年、国の名勝に指定されたことにも触れ、岡田の意志を継いで進める美術文化活動について、文化庁や熱海市、箱根町などの行政をはじめ、芸術家など多くの人の理解と支援に深い感謝を述べました。

 

この後、宝生流二十世宗家の宝生和英氏による能「翁」、野村万蔵氏がシテを務める狂言「塗附(ぬりつけ)」、辰巳満次郎氏による舞囃子(ばやし)「高砂」が上演。神が天下太平を祈祷(きとう)して舞う「翁」や塗師(ぬし)と大名のやりとりを面白おかしく演じる「塗附」など、卓越した演技に大きな拍手が送られました。

 

 

この他、MOA美術館の開館40周年を記念して、4月29日には能楽堂で「人間国宝スペシャルトーク」が行われ、重要無形文化財保持者(人間国宝)の坂東玉三郎(歌舞伎)、室瀬和美(蒔絵・まきえ)、藤沼昇(竹工芸)、土屋順紀(紋紗・もんしゃ)の4氏が登壇。伝統工芸に用いる自然素材が、地球温暖化や酸性雨によって変化してきていることなどに触れつつ、日本の伝統工芸を守るため、一人でも多くの人に日常生活で工芸品を使ってほしいと呼び掛けました。坂東氏の進行でユーモアを交えながら語られる各氏の言葉に、来場者は熱心に耳を傾けていました。

 

 

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