静岡県熱海市
被災地児童の作品「生きる力」など300点を展示
「第34回MOA美術館全国児童作品展」が12月29日から2月14日まで、MOA美術館で開催。国内外298会場(海外11か国28会場を含む)から応募された19万347点の絵画・書写作品から選出された入賞・入選作品300点が展示。文部科学大臣賞を受賞した砂川弘典さん(沖縄1年)の絵画作品「げんきなうみの魚たち」や、書写の部でボーイスカウト日本連盟理事長賞を受賞した能登半島地震被災地の児童、梅村佳菜子さん(石川県・小学3年)の「生きる力」など、期間中、多くの来館者が児童たちの豊かな感性がほとばしる力作に感心した様子で見入っていました。
受賞作品はMOA美術館児童作品展ウェブサイトで鑑賞できます。
1月28日には同館能楽堂で表彰式が行われ、受賞児童とその家族らが参集。室瀬和美(公財)岡田茂吉美術文化財団代表理事の開会挨拶に続き、小林恭代文部科学省教科調査官、土佐昭夫こども家庭庁成育局参事官(事業調整担当)付参事官補佐、平形雄策農林水産省農産局長、水谷努環境省自然環境局国立公園課国立公園利用推進室長がそれぞれ、丹念に時間を掛けるなど心を込めて作品を描いた子どもたちの努力、全国の同作品展実行委員会の支えを称賛。受賞作品がスクリーンに映し出される中、受賞児童が元気よく表彰状を受け取りました。
文部科学大臣賞学校奨励賞には静岡県伊豆の国市の韮山小学校など6校、内閣府特命担当大臣賞には兵庫県の三田児童作品展実行委員会など2団体が表彰。受賞者の作品に込めた思いの発表と審査員の講評、歴代受賞者による激励メッセージも行われました。
表彰式の様子はこちらで見ることができます。
ボーイスカウト日本連盟理事長賞の梅村さんは「〝生きる力〟の字の練習は、土曜や日曜にまとめて50枚くらいずつ書きました。表彰状をもらった瞬間はうれしかったです」と述べ、母の睦子さんは「能登半島地震で、私たちが住んでいる地域も大きな被害を受けましたが、家の被害が少なかったおかげで、無事に来ることが出来て良かったです。娘が表彰状を受け取る時や、壇上で作文を発表する時は、見ているこちらの方が緊張しました。お正月から大変な始まりでしたが、明るくうれしい一日になりました。娘が書いた〝生きる力〟という言葉は、今の私たちにとって励まされる言葉です」と語りました。
また、東日本大震災が起きた2011年、小学4年生で応募した作品「がれきの中でみた花火」でMOA美術館特別奨励賞、6年生では「祈り〜あの日を忘れない〜」で厚生労働大臣賞を受賞した宮城県の杉山結奈さん(大学4年)も激励に訪れ「小学3年生の冬に東日本震災に遭いました。当初は、何ともいえない悲しさや苦しみ、不安を吐き出すことができずに、学校にも行けなくなっていました。そんな時に、父と母の勧めもあって、自分の気持ちを絵に描いたことで心が少し軽くなり、少しずつ前進できたのです。それが入選した絵でした。能登地震の被災地の皆さんには、まだ立ち直るのは難しいと思うのですが、一人じゃないと思ってほしい。そして、周囲の人とコミュニケーションを取ったり、絵を描いたりと、芸術に思いを向けることで、どうしても苦しくなってしまう心を大切にしてほしいと、そう願っています」とエールを送ってくれました。
MOA美術館全国児童作品展は、文部科学省の「学習指導要領」に基づき、自然・環境、社会、他者との関わりの中で得た感動や関心を、感性を働かせながら絵画や書に表現することで情操を養い、豊かな心を育てることを目的に開催されています。全国の美育ボランティアによって支えられ、学校・家庭・地域が連携して子どもたちの健全育成や心身ともに健康なまちづくりに寄与する作品展として評価されています。
(主催・後援)
主催/(公財)岡田茂吉美術文化財団(MOA美術館)、後援/文部科学省、外務省、農林水産省、環境省、子ども家庭庁、日本ユネスコ国内委員会、(公社)日本PTA全国協議会、(公社)全国子ども会連合会、(公財)ボーイスカウト日本連盟、(公財)海外日系人協会、全国新聞社事業協議会、全国連合小学校長会