京都府 M・Yさん(63歳、女性)
〔京都健康センターに行く〕
私はこれまで4~5年に一度の市民検診は受けていたものの、更年期に入ってからは医師より、「血圧が高いですね」と言われるようになりました。そのころの最高血圧は170mmHg代で最小血圧も100mmHg近くありました。
平成21年3月ごろから、家庭内でのストレスがたまり、家族とどのように向きあっていけばいいのか悩んでいました。その矢先、MOA健康生活ネットワークの話し合いの場に参加したスタッフから、「健康づくりを各自がテーマとして3ヶ月岡田式健康法を継続して行い、その変化を確認してみませんか?」と提案していただきました。変化を確認するために毎月1回、MOA京都健康センター内にあるKクリニックを受診し、健康をチェックするということでした。
8月3日、初めてKクリニックで診察を受けました。K医師は私の話をいろいろ聞いてくださり、「この状況でしたら服薬はせず、しばらく様子を見ましょう。次回来られた時に栄養指導を受けてください」と言われました。
2回目の受診の際、医師の指示に従いO管理栄養士から栄養指導を受けました。O管理栄養士に、私の生活についてお話しすると、「家庭での心の持ち方や対人関係で常に神経が張りつめているので、もっと肩の力を抜いてください。リラックスして、たまには映画でも見に行くとか」等々、思いやり溢れた言葉がOさんの口から次々出てきました。まるですべて私の心の中まで見通したかのようなアドバイスを受けて、素直に聞き入れることができました。
〔私の健康づくり〕
K医師の指示やO管理栄養士の栄養指導から、私は次のことに気をつけ努力しました。まず、一つ目は、精神面、心の持ち方でした。娘夫婦との同居など、いつしか張り詰めていた心をリラックスさせることでした。「力を抜いてください」の一言にどれだけ助けられたか分かりません。
次に食事面は、家族に合わせてパン食だった朝食を和食に替え、ご飯と具だくさんの味噌汁にしました。そして塩分は控えるように気をつけ、野菜を今までより多く摂るように努力しました。さらに孫と一緒にとっていたおやつのビスケットも1枚程度にし、コーヒーは普通サイズのカップにしました。
運動面もなるべく歩くこと、特に家の中でも動くことに努力して、今までは後回しと思った些細なこともすぐに動くことで、この期間はかなりの回数、階段を往復したと思います。
浄化療法は、健康センターで指示していただいた高血圧症に関するポイントを中心に、家族から施術してもらい、また、たとえ5分でも自己施術もするように努力しました。
今までの私は、自分の身体の健康のために目標を持つことはありませんでした。しかし今はこの目標も定着し、さらに新たな目標も次々でき、最近ではそれを楽しみにしています。不思議なことに栄養指導を受けたその日から、血圧の方は下がり始めました。そして、初診から3ヶ月後の血液検査では、努力の甲斐があったのか全ての数値が正常値になりました。
□ Mさんの栄養指導について(Kクリニック管理栄養士 Oさん)〕
〔ご本人の状況と願い〕
8月に栄養指導を受けに来られたMさんは、高血圧症を薬に頼らず、なるべく食事で改善したいと願っておられました。そんなMさんに、食事の内容を伺いました。その中で私が感じたことは、育ち盛りのお孫さんや働き盛りの娘さんご夫婦と同じ食事をしているということもあり、Mさんの年齢や生活強度からすると、お肉、油ものが多めで、野菜が少ないということでした。さらにMさんから生活環境、生活のリズムなどについて現状の話がありました。Mさんは、家族一人一人のことを本当に大事に考えておられることがよくわかりました。聞かせていただいて、家族優先の生活を意識しすぎるあまりに、一日中気を張りつめた状態が続いているということが気になりました。
〔提案した内容〕
そこで、提案したことは、いつもパンとコーヒーだった朝食を、ご飯と具だくさんのおみそ汁の和食にするということ。朝食を和食にすることで、野菜をたっぷりと食べることができ、一日の食事バランスが整えやすくなります。
そのほか、夕食の時間や運動などいろいろ話をしましたが、Mさんが実行しやすいこと、一番心がけたいことの目標を1ヶ月ごとに決め、毎日自己評価をつけて記録していくことを提案しました。
Mさんは“自分にできることは家族にできるだけしたい”という思いが強く、ついつい無理をしてしまい、それがかえって身体に負担をかけていると考えました。「Mさんが健康でいることが、ご家族が一番望んでいることです。これからは、自分の身体のこともしっかり考えて、大事にしてください」と、「こだわりすぎない、頑張りすぎない」ということも話しました。
〔その後の状況〕
自分の生活習慣を変えることは、なかなか容易ではありませんが、記録することを続けておられ、Mさんの意志の強さを感じます。その甲斐あって、血圧も平成21年8月は172/97mmHgでしたが、12月には142/86mmHgまで下がり、血液検査でもコレステロールが正常値内になり、K医師も「改善している」と診断しておられます。本当にMさんの努力の成果だと思います。
Mさんを通して、気持ちの持ち方、考え方がいかに身体に影響を及ぼしているかということをわからせていただきました。自分の身体を大切にすることの第一歩は、食生活を見直すことだと思います。自分に合ったバランスの良い食事は、すべてが前向きに楽しく考えられるようになり、その後の生き方にもつながっているということを私自身もあらためて学ばせていただきました。