花を通して自らが癒やされ、人の幸せのための生き方へ

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埼玉県  Y・Mさん(41歳、女性)

〔花によって癒されたと実感して〕

 平成13年の事です。当時まだ独身だった私は、仕事で埼玉に転勤になりました。業務内容や住居も変わり、ハードワークに加え、仕事絡みの人間関係で悩み、勤務中に突然、動悸と体が震えだして起きていられない状態になり、東京療院の中にあるMOA高輪クリニックを受診しました。診察後、勧められるままカウンセリングを受けました。そのころの私は自分の存在が自分のものでないような感じで、どんな言葉も私の目の前を通り抜けていくだけでしたが、その後、お花のセラピーでフリージアをいけた時、その花が大きく私を包み込み優しく話しかけてくれているように思え、それまでずっと閉まっていた栓がポンと抜けたように涙が溢れたのです。花によって心底癒やされたと実感することができました。
 そのような体験もあり人生に大きな影響を与えるお花に携わり、花を通して人の役に立ちたいと、MOA美術文化財団(現:岡田茂吉美術文化財団)が認定する美術文化インストラクターの資格を取りました。

〔光輪花クラブを開講〕

 結婚を機会にT市に住むようになり、まず一人の方を対象に、自宅で光輪花クラブというお花の教室を開講しましたが、進め方やアドバイスがうまくいかず、悩んでいました。その様子を見ていた夫が、先輩インストラクターでもある義母に相談してくれました。
 義母が光輪花クラブの新たな受講希望者を2名募り、その機会にと自宅から「MOAインターナショナル所沢センター」に場所を移して、平成19年9月から義母との共同開催で光輪花クラブを開講することになって、さらに2名が入会し、合計5名の受講生で活気が出てきました。
 義母を通して、花のいけ方だけでなく、調和の大切さなど、大自然から人の生き方を学んでいくアドバイスの在り方や、小さな変化も見逃さない人の見つめ方など、学ぶところがたくさんあります。経験豊富な義母に助けてもらいながら、インストラクターとしてのやりがいが少しずつ感じられるようになってきました。さらに、自分自身が癒された東京療院での体験が力になり、光輪花クラブに携わるみなさんに本当に幸せになってもらいたいという思いで取り組むようになりました。

〔何でも話し合える中から、家庭の中に健康法が拡がる〕

 光輪花クラブは、家族的な温かい、和気あいあいとした雰囲気の中で、楽しく進められています。
 クラブ員のみなさんが、花を通して心が穏やかになり、やさしい気持ちになっていかれるとともに、その時の会話からヒントが見つかると、心が前向きになるのでしょうか、表情も明るくなり、「家に帰ったら、こういうことをやってみよう」など、積極的な言葉が聞かれるようになりました。
 このようなことを積み重ねる中で、生活の中に美が定着し、癒しを得られ、不安がなくなったり、自信がついたり、人に尽くせる生活に変わっていかれたり、そういう人の変化を見せられるのが、何よりも嬉しく楽しいひとときです。
 さらには、所沢センターで行われる健康増進セミナーや食セミナーへの参加、浄化療法療法士としてのボランティアへと繋がりなど、自然な形で、それぞれの家庭に健康法が広がってきています。
 例えば、Kさんは、子育てに悩んだり、人前に出るのも苦手な方でしたが、大変前向きになり、今では、所沢センターに足を運ばれて、浄化療法の療法士のボランティアやお花のいけこみ活動に取り組まれるようになりました。また子どもさんのお友だちが幼稚園に行けなくなったという話を聞いて、所沢センターにご一緒して、食セミナーや親子フラワーセミナーに参加されたり、家を訪ねて、一緒に花を楽しまれる中で、そのお友だちのお子さんが幼稚園に行けるようになりました。

〔Kさんのコメント〕

 光輪花クラブでは、いける前にお花をいろいろな角度からじっくり見るのですが、同じように自分の子どもに対しても、ほかの人に対しても様々な角度から、相手のためにどうあればいいのかが見られるようになりました。
 家にもお花をもっと飾って、家の中を綺麗にしようっていう気持ちも湧いてきました。お花をすることによって、自分に自信がついてきたと思いますし、“心に余裕が出てきたんだなあ”と気づきました。
 まだ光輪花クラブも3級ですが、いつか1級をとって、学校の子どもたちと一緒にお花のサークルをしていきたいと思っています。
 今は、Yさんと一緒にお花を公共施設などにいけこむボランティアが自分の生き甲斐になっています。
 何か悩みとかあった時にも、Yさんに自分の思いを打ち明けて、良いアドバイスをいただいたり、施設でのボランティアの時もちょっと時間が空いている時、話しを聞いていただいたり、たくさんの助言をいただき、本当にいろいろな方に自分は支えられているんだなと気づき、たくさんの方から愛情をいただいているから、今度は自分がほかの方に愛情を還元していきたいと思うようになりました。
 周りの支えがあるからこそ、自分はこうして、活動できるんだなと感謝しています。

〔親子サークルに参加する子どもたちの変化〕

 2008年1月から月1回、所沢センターで、親子山月サークルを行っています。MOA美術館主催の全国児童作品展の参加を呼びかけるとともに、子どもさんを持つ健康生活ネットワークのみなさんに声をかけ、また、子どもたちが自分の友だちを連れてくるなど、フレンズも含め、毎回20人前後の親子が参加するようになりました。高校生から幼児まで、幅広い年齢層の子どもたちが集まり、上の子が下の子をお世話しながら、親子で花を楽しんでいます。そうした子どもたちの表情や発言、行動などを見ていると、ささやかな変化を発見することができるのです。
 子どもたちは、美しいものを見て心が安らいだり、大きな心で自分や周りを見つめられるようになったり、人の話を聞く余裕が持てるようになったりしています。
 固い表情が、花をいけるうちに素直な優しい笑顔になった女の子、みんなのために折り紙で名札を作ってくれた小学校4年生の女の子、初参加した2歳の女の子の頭をよしよしとなでる3歳の男の子、また、みんなのためにと手作りのお菓子を作ってきてくれた子など、思いやりの心が育ち、子どもたちどうしが支え合っています。微笑ましい状況をかもし出しています。
 そうした中で、不登校だった中学生の女の子から笑顔が出るようになり、少しずつ自分の思いも語るようになって、だんだんと心を開いて、明るくなっていき、学校に行けるようになりました。
 こうした子どもたちの変化がとても嬉しく、その姿にこちらが学ばされています。花の命を大切にいけることで、生命ある花の存在を認められるようになるとともに、お互いの存在を認め合い、自分の存在価値を確認できていることが、喜びや自信につながり、一人ひとりが変わってきているのだと思います。 
 また、この時間は親たちにとっても癒される時間であるとともに、子どもたちの姿から親が学ばされ、子どもに対する接し方も変わり、家庭で一緒に花やお茶を楽しんだり、お子さんを通して、学校に花を届けるようになるなど、それぞれの家庭が変わってきています。

〔義父のコメント〕

 子どもたちの教育の問題について、先日、ある雑誌に、「早期教育が子どもの脳を破壊する」という記事が載せられていました。四文字熟語で独り言を言う、生気を失い笑わなくなる、夜な夜な奇声を上げる、何事にも攻撃的になるなど、心に病を抱える幼児が増えてきているそうです。それは、まさに岡田茂吉先生が、「早期教育の弊」の論文の中で、「頭が発達しない時期に、学問を詰め込むと、上っ面の智慧ばかり発達した思慮の浅い人間が作られる」という意味のことを仰っておられることが現実に表れてきていると感じました。
 教育基本法にも、豊かな情操や自然を大切にすることなどがうたわれていますが、それに対する具体策が示されていない中で、妻や嫁たちが取り組んでいる「美育」の重要性を痛感します。子どもサークルの様子を見聞きすると、心が温まってきます。

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