自閉症の子どもを抱えて

タグ:

鹿児島県  N・Kさん(52歳、女性)

〔家庭内に様々な問題を抱えて〕

 平成12年、私は東京で3人目の子どもを出産した後、頚椎にズレが生じたことが原因で、右手薬指がバネ指*1となり、指を伸ばすことができず、ずっと痛みが続いていました。
 平成15年、夫の仕事の関係で鹿児島に引っ越してきましたが、ほかに腰の痛みや難聴があり、歩くのもやっとの状態でした。夫もヘルニアがあり、子どもたちも身体が弱く、家族全員が病院に罹ることが多く、治療費などで年間20万円ものお金を使うほどでした。
 自閉症の障害を持つ長男(現在21歳)のことで夫との言い争いが絶えなくなり、本当に苦しい日々を送っていました。その姿を見ていた長女(現在小学5年生)が、私たち夫婦が離婚するのではないかと心配し、また学校でもいじめに遭い、不登校になっていました。
 
*1 バネ指=手の指を曲げたり伸ばしたりする時に抵抗があり、バネ仕掛けのように動き、曲げ伸ばしの際に痛みを感じることがある症状。

〔家庭教育学級で出会ったNさんに勧められ、浄化療法を体験〕

 平成18年、長男が通っている高校で月1回ほど開催される「家庭教育学級」のチラシを見て興味を持ち参加してみました。そこでボランティアをされているNさんと話をするようになりました。Nさんのご主人は同校のPTA会長をされていて、校長先生から「不登校の生徒のために何かできることはないでしょうか?」と相談され、K市で長年、家庭教育学級のリーダーとして活躍しておられるHさんを紹介し、お茶、お花、親子の料理教室などを取り入れた「家庭教育学級」を始めることになったそうです。
 HさんとNさんはとても感じが良く親切にしてくれました。初めて参加した時、ティータイムと書かれてあったので紅茶かコーヒーが出されるのかと思っていたら、お抹茶が用意されました。それは大変美味しく、日常生活の中でお抹茶をいただくことなどないため、とても新鮮に感じられました。お花にも感動しました。こうした「家庭教育学級」の内容やHさん、Nさんの人柄にひかれ、ペーパードライバーであった私は、タクシーに乗ってでも参加する価値があると思いました。実際に私がタクシーで通っていることを知ってから、Nさんは車で送り迎えしてくださるようになりました。
 こうした状況の中で、1年ほど経ち、Nさんと随分親しくなったころ、長男は障害があるために就職できないこと、さらに、私はバネ指や腰痛に苦しんでおり、肩こりもひどくなっていることなどを率直に相談してみました。すると、Nさんから「岡田式浄化療法という健康法があるので受けてみない?」と勧められ、素直に受けてみることにしました。Nさんは週3回、わが家に通って浄化療法を施術してくれました。初めて浄化療法を受けてみて、身体が楽になるのがよくわかりました。
 その後、Nさんから3級療法士の資格証を見せられ、「私たちは、統合医療を推進する医療機関もある南九州療院鹿児島療院*2でボランティアをしている。医師に診察してもらってから浄化療法を受けることができるので、一緒に行ってみない?」と勧められ、行ってみることにしました。
 
【Hさんの談話】
 Nさんの紹介で校長先生とお会いしました。懇談の中で、私の体験をみなさんの前で話してもらえないかということでしたが、私はMOA美術文化財団(現:岡田茂吉美術文化財団)のインストラクターとして日ごろから美に接することで人が変わっていくことを実感していたものですから、先生や生徒さんの代表者にお花をいけてもらいました。するとストレスを抱えて元気が出ないと言われていた先生も「大変気分が良い」と、表情が明るくなられました。また「お花などで人が変わるのかなー」と不安げだった教頭先生が終始、楽しそうに笑顔でお花をいけられ、いけたお花を褒められると子どものようにはしゃぐ様子をみておられたほかの先生方が驚かれ、校長先生も「これはすごい」ということで、お花やお茶などを行う家庭教育学級が始まりました。

〔鹿児島療院で岡田式健康法を体験し、バネ指が改善する〕

 平成20年4月、Nさんに鹿児島療院に案内していただきました。先ず、いけてあるお花に感動しました。さりげなく可愛らしくお花が至る所にいけられていて、とても癒されました。療院のみなさんはとても親切で、M医師が時間をかけて診察してくださり、カウンセリングも丁寧にしていただきました。療法士の方から1時間以上にわたって浄化療法を受けました。その後、お茶室でお抹茶を味わい、さらに、気に入ったお花と花器を選んでいけました。療法士の方も、お茶やお花の担当者も、みなさんボランティアと知ってとても驚きました。「3時間待って3分診療」と言われる現代、こうした素晴らしい環境の中でケアを受けられ、とても幸福な気持ちになり、まさにカルチャーショックを受ける思いでした。
 翌日、以前から苦しんでいたバネ指の痛みやむくみがなくなり、指が真っすぐ伸びていることにびっくりしました。また、腰痛も良くなり、「これは違う」「何これは?」「あんなに痛くて苦しんでいたのに、どうして1回、療院に行っただけでこんなに良くなるの?」と不思議に思いながらも、その効果を実感しました。それ以降、Nさんより毎日、浄化療法を受けるようになり、療院にも毎月のように行くようになりました。
 M医師に、障害のために就職できない長男のことを相談したところ、ある授産施設(※就業能力の限られている要保護者に対して、必要な技能を収得させ、就業の便宜を与える施設)にその場で連絡し、紹介してくださいました。長男は現在2年生で、9時半から3時半までお茶のパック詰めなどの仕事を喜んでしています。普通の人でも就職難の時代にあって、長男が働けるようになり、私たち夫婦も本当に嬉しく、M医師の思いやりあふれる対応に心から感謝しています。

〔MOA会員となり、浄化療法3級療法士の資格を取得する〕

 その後も、浄化療法を受けるたびに、岡田茂吉先生の言われる「善い行いをすること、感謝の生活を送ること、日々の生活を楽しむこと」などのアドバイスを受ける中で、夫との言い争いから“家庭を捨てたい、一人になりたい”と思っていたのは、実は私の心や言葉にも原因があったことに気づき、心の持ち方や言葉づかい、行動のあり方を意識するようになりました。今、振り返ってみると、“夫婦間の問題も、私が変わるために必要なことだった”と思えるようになりました。
 そして、以前の私は、ボランティア活動には全く興味がありませんでしたが、Nさんと出会い、浄化療法を受け、自宅に花をいける中で、“人の幸せのために何かをさせていただきたい”という思いに、いつしか変わっていました。
 浄化療法の効果を実感した私は、自分でも浄化療法ができ、家族にもしてあげられる、“療院でボランティアをさせてもらいたい”と願って、平成20年7月にMOAに入会しました。その後、浄化療法3級療法士の講座に参加しました。こうした中で、夫もMOAに入会しました。
 平成21年3月、3級の資格をいただいた直後、夫が仕事を変えざるを得なくなりました。夫婦で助け合い、夫を支えるために私も働くことにしましたが、何よりも家族のことを考え、さらにボランティアもできるように、夕方から夜の時間帯のパートを選びました。初めて仕事をしてみて、その大変さが身に沁みてわかり、夫もこのような気持ちでわが家に帰っていたのかと思うと、家庭が憩いの場となるように迎えてあげたいと思えるようになりました。また、失敗したり疲れて帰宅した時、テーブルの上にある一輪の花を見て癒されました。“私もこの花のように夫を癒してあげたい”と思いました。
 夫は、平成21年9月にお弁当屋さんの仕事が見つかり、今は店長になり、毎日深夜まで、土日も働いてくれています。わが家の収入は以前に比べて減りましたが、同時に、お金のありがたさを知り、無駄遣いをしなくなりました。

〔人のために尽くす生活が自分の喜びとなる〕

 このように、Nさんからアドバイスをいただき、さらに、MOAから発行されている『感謝』の小冊子を学ぶ中で、私の心に、いつのまにか人のことを思いやる心が芽生え、我や執着がなくなっていることに気づきました。また、毎日の先祖への挨拶も大切なことだと学びました。
 そして、子どもが腹痛や頭痛で「学校を休む」と言った時も、夫と一緒に浄化療法を施術する中で、短時間で痛みがなくなり、元気に学校に通えるようになりました。
 このように、わが家の状況が改善する中で、不登校だった長女も通学できるようになりました。現在、私は長女の小学校にお花のいけこみのボランティアをしています。暮らしも安定してきたため、これからMOA光輪花クラブというお花の教室に入り、インストラクターを目指していこうと思っています。
 また、Nさんの付き添いで練習を重ねる中で、また運転できるようになり、車を購入しました。行動範囲が広がり、ボランティア活動にも役立っています。
 私や家族が体験したことが少しでも参考になればと思い、友人や知人にも話すようにしています。その中で、私の長男と同じ自閉症の障害を持つお母さんをはじめ、3名の方が岡田式健康法を体験し、その効果を実感する中で、MOA会員になられました。
 今では、家族のため、そして人のために尽くす生活が私自身の喜びとなっています。
 
*2 鹿児島療院=現・南九州療院

あわせて読みたいコーナー

PAGETOP