島根県 S・Yさん(73歳、女性)
〔突然立てなくなる〕
平成8年に夫を亡くし、子どもたちは結婚して東京におり、私は島根で一人暮らしをしています。
平成20年ごろから左足の脛の内側が張ったような感じになり、正座をするのが苦しくなりました。病院で診察してもらうと「*1脊椎すべり症」と診断されました。ほかの病院でもレントゲンを撮ってもらいましたが、診断された病名は同じで「足腰に負担をかけないようにできるだけ歩かないようにすること」「体重を減らすこと」「プールに通ってリハビリをするように」と言われました。ただ、左足にあまり力が入らず正座ができない程度だったので、普段の生活にはそれほど支障を感じていませんでした。
しかし、平成22年1月9日の夜中、トイレに行こうとすると立てなくなっていました。右足も力を入れて踏ん張ることができませんでした。寝室からトイレまでは何とか這うようにして行きました。この家には私一人しかいませんので困ったなと思いました。
翌朝になっても症状は変わらず、私は寝室で海を眺めながら“立てなくなったのは高齢化のせいかな”“私の動ける人生は終わっちゃうのかな”といろいろな不安や思いが湧いてきました。外で町内のみなさんが散歩している姿を見ると、行きたい所に歩いていけることがどんなに素晴らしいことなのかとつくづく感じました。
*1 脊椎すべり症は椎骨が前後にずれている状態です。分離症に伴って起こるすべり症(分離すべり症)と、分離に伴わないもの(変性すべり症)とに分けられます。下肢(かし)(脚(あし))に放散する痛みやしびれが出てきたら、椎間板ヘルニア(「椎間板ヘルニア」)を合併しているおそれがあります。
〔広島健康増進センターで浄化療法を受ける〕
お昼過ぎ、Aさんから電話がかかってきました。この日、市内の行事に参加する予定だったので「今日見えなかったけれど、どうかしたの?」と心配してくださったのです。事情を話すとAさんは心配されて、翌日からAさんをはじめ地域のMOA健康生活ネットワーク(以下、ネットワーク)の方が7人もお見舞いに来てくださり、岡田式浄化療法をしてくださいました。
ネットワークの方から「病院に行ってみたら?」と言われました。私は1月13日に岡田式健康法を受けるために広島健康増進センター(平成23年5月より広島療院として開設)に連れていってもらう予定でしたので、健康増進センターの広島クリニックで診てもらうことにしました。
1月13日、MOAのスタッフの助けを借りて、健康増進センターへ行きました。家の外の階段を降りるのも後ろ向きで降り、健康増進センターでも恥ずかしながら玄関から車椅子で運んでいただきました。広島クリニックでは、「手術の可能性があるかもしれないので、専門の病院で診察を受けてみてはどうですか」と言われました。診察の後、健康増進センターで午前と午後に2回、浄化療法を受けました。
私としては、手術に頼らず健康法を受け続けたいと思いました。しかし、人の手を借りている状態ではそれも難しいと思い、まずは専門の病院に行き、また家でネットワークの方にお願いして継続的に浄化療法を受けていこうと思いました。
〔医師から「以前より良くなっています」と言われる〕
「手術しなければいけないかもしれない」と言われ、息子たちがいる東京で手術を受けた方がいいのか、島根で手術を受けた方がいいのかと何日か悩んでいましたが、その間、症状が次第に和らいできました。
14日は3人の方がお見舞いに来てくださり、約3時間、腰のあたりを中心に浄化療法を施術してくださいました。この日、両脇を支える歩行器が届いたのですが、不思議と杖がわりに押すだけで何とか歩けるようになっていることに気づきました。15日は2人の方から3時間ほど受けましたが、だいぶ力が入るようになり、足の感覚も普通より少し踏ん張れないぐらいに感じました。
そして16日の朝9時半ごろ、見舞いに来てくださった人を、私は玄関までタッタッタと歩いて出迎えていました。お見舞いに来てくださった人が「どうしたの!その足!」と言われて、その時に私も“あ!歩けるようになっている”と気づきました。“また動けるようになった、歩けるようになった”という喜びが湧いてきました。
1月18日、すべり症になった時からお世話になっている市内の整形外科の診察を受けました。レントゲンを撮ったのですが、状況は変わっていないと言われました。しかし、歩き方を見てもらうと「以前よりよくなっているように見える」と言われました。私自身も以前よりも力を入れて歩けるように感じていました。先生から「何かしましたか?」と聞かれたので、「岡田式浄化療法を受けました」と答えました。先生はインターネットですぐに調べてくださり、大変興味を示されていました。
1月21、22日、私は1泊2日で健康増進センターに行きました。整形外科でいただいたレントゲンの封筒を広島クリニックの先生にお渡しすると、先生はその中に入っていた所見を読み上げてくださり、「岡田式浄化療法で改善と書いてある」「手術の必要はないと書いてありますね」と教えてくれました。
〔健康生活ネットワークの存在の大きさ〕
レントゲンでは以前の状態と変わらないと言われていたので、しばらくは恐る恐る歩いていたのですが、1月16日以降は何ともないですし、逆に良く歩けるようになっている気がします。
今振り返ると、1月10日にAさんから電話をいただきましたが、いつもは私から電話をすることはあっても、Aさんからいただくことはあまりなかったので、あの電話のお蔭で助かったと思っています。
その後、Aさんたちネットワークの方がたくさんお見舞いに来てくださいましたが、このネットワークの存在というのは大きいと感じています。
見舞いに来てくださる方の中には、「これ持ってきたんだけど、食べられるかな」とアツアツのピザや新鮮な刺身などを届けてくださいました。私は時々、ネットワークの会合に、採れたての銀杏の茶碗蒸などを出していたのですが、ある方は、「普段銀杏を使った料理を食べさせてもらっているから、今日は銀杏飯を作ってきた」と持ってきてくださり、とても感動しました。白いご飯に銀杏が入っているだけですが、一口食べた時のあの美味しさは忘れられない味で、またたく間に食べてしまいました。本当にみなさんの思いが詰まったものをいただき、感謝しています。
今の時代にこうした助け合いができるネットワークがあることで心丈夫です。誰かにちょっと電話するとすぐに連絡しあって気遣ってくださる。私は、この市内に身内が一人もいないのですが、安心して老いていけると思っています。>