寝たきりのリウマチ患者が一人で外出できるようになる

タグ:

アルゼンチン  A・Mさん(40歳、男性、医師)

〔健康生活ネットワークからの往診の依頼〕

2003年7月、サンティアゴ・デル・エステーロ市においてMOAの瑞泉郷が完成し、同年11月にサンティアゴ治療院がオープンしました。その治療院の院長を私が引き受けることになりました。奇しくも2003年は、市政450周年記念行事と重なる意義のある年でした。
 Fさんは、住んでいる地域で健康生活ネットワークの中心的な役割を担われて、2008年に20名を対象に浄化療法の調査(浄化療法によるQOLの改善調査)を行い、14名に対しては、その後も継続して浄化療法に取り組んでおられます。
 その対象者の中にCさん(50歳)がいらっしゃいました。Cさんは、離婚問題で悩み、重度のうつ症状でしたが、Fさんから2週間にわたって毎日浄化療法を受ける中で、元気を取り戻されました。するとCさんから「生きる力が湧いた。この素晴らしい浄化療法は、ぜひ病気の母(Aさん、87歳)に体験させたい」と頼まれたのです。
 Fさんは、2008年4月28日の昼にAさんを訪ねました。浄化療法について説明すると、Aさんは藁にもすがる思いで浄化療法を希望されました。そしてFさんから頭頂部、頸部、右の肩部と肩甲骨部などに対して、40分間ほど浄化療法を受けられると、痛みが落ち着いたとのことでした。しかし、Aさんの状態は重篤なので、Fさんから私に往診して欲しいとの要請がありました。

〔寝たきり状態からの変化〕

 Fさんから連絡を受けて、私は治療院での診察を済ませた後で、Aさんのお宅を訪問しました。Aさんは、関節リウマチ、関節炎、心不全、高血圧症、脳血管障害、脊椎側湾症、右肩の脱臼、髄膜炎、緑内障、難聴、うつ症状といった疾患を抱えておられ、寝たきりでトイレへ行くにも人の手を借りる状態でした。西洋医学だけの視点で判断すれば、「どうすることもできない」とあきらめてしまうような状況でした。
 私はAさんの許可を得て、「岡田式浄化療法の実際」のテキストに定められた、体の21箇所の部位を丁寧に探査して、その中の右側の肩甲骨部と腎臓下方部を急所に設定して、約10分間浄化療法を施術しました。すると、驚くことが起こりました。寝たきり状態だったAさんがベッドから起き上がったのです。そして、ダイニングの方へ歩き出しました。
 Aさんは、その時服用していた薬の入った袋を持って来て見せてくれました。5人の専門医師から処方された薬が20種類ほどあり、私は、その中から7種類の薬を選んで処方しました。また、岡田式健康法について説明し、日ごろから継続的に浄化療法を受けてはどうかとアドバイスしました。

〔一人で外出もできるようになる〕

 1週間後の5月5日には、AさんがFさんに付き添われて、初めて治療院を訪れました。Aさんは、Fさんから継続して浄化療法を受けておられるとのことで、「浄化療法を施術していただくと、24時間痛みが治まり、毎日受けるとほとんど痛みがありません。夜もぐっすり眠れます」と喜んでおられました。またこの日は、杖の支えだけで歩くことができていました。
 その後も継続的に治療院に来られたAさんは、身体的な変化ばかりでなく、精神的な変化も見られるようになりました。教師だった若いころを思い出して、「今までの人生で最も輝いていた」とコメントされました。この心の変化は重要で、以前のAさんは過去の嫌なことしか思い出せなかったのに、浄化療法を受け始めてからは良いことばかりを思い出し、幸せそうな表情を見せるようになりました。
 現在も浄化療法を定期的に受けるなど、自ら改善を図るように努力されています。先日もお手伝いさんと年金を受け取りに、1kmほど離れた銀行まで歩いていけたし、あまり疲れなかったそうです。今では一人で外出もできるようになりました。

〔健康生活ネットワークの大切さ〕

 今回の出来事を通して、個人や家庭、地域の事実を見つめ、患者の健康増進を支える、Fさんのような健康生活ネットワークの重要性を痛感しています。
 私は、大学で西洋医学の医師(総合医、家庭医)になり、サンティアゴ治療院で岡田式健康法を取り入れた治療を行っています。今後は、統合医療の経験を生かしながら、瑞泉郷・治療院、健康生活ネットワークと連携する中で、「ものよりこころ」「理屈より愛情」を大切にする医療、病の解決に取り組みたいと願っています。

〔Aさんのコメント(2008年11月7日)〕

 以前の私は家事もできず、すべてを家政婦にお願いする状態でしたが、今では人の手を借りずに家事ができるようになりました。浄化療法のお蔭だと思っていますので、Fさんが来られる時がすごく嬉しいのです。
 家で受ける浄化療法だけでなく、治療院を訪れることが何よりも楽しみです。笑顔が自然と湧いてくるのです。お花を見つめると日々の嫌なことを忘れ、治療院から出ると開放感と幸福感を覚えます。
 M医師には、いつも私の健康状態について気を配っていただき、感謝しています。治療院のスタッフやボランティアの方は人間味にあふれ、患者に対して愛情を込めて接しておられることに安心感を覚えます。
 浄化療法をはじめとする岡田式健康法のおかげで健康回復の道が開かれたことに対して、創始者である岡田茂吉先生に深く感謝しています。

〔関節リウマチ研究プロジェクトの発足〕

 私の自宅で「医師・医療関係者を対象とした健康増進セミナー」をスタートして以来、慢性的な疾患、治療困難な病気が浄化療法によって改善していく事実を見て、参加者一人ひとりが医師としての希望を取り戻しました。
 セミナーに参加していたP医師(現サンティアゴ・デル・エステーロ州厚生局局長)から、今注目されている病気の一つである「関節リウマチ」を研究テーマにしたらどうかと提案がありました。うつ病や職業困難を招き、時には死に至らしめることもあり、個人や家庭が苦悩に苛まれる病であることから、全員が納得し、研究対象として決定しました。
 治療院でも「健康増進セミナー」を実施し、医師だけでなく、心理学者、歯科医、衛生指導員も参加され、さらにはサンティアゴ州の関節リウマチ罹病者協会の会長と副会長も治療院を訪れて、研究に賛同されました。
 そして2008年8月20日に、手続きに4ヶ月以上もかかりましたが、サンティアゴ医師会の協力のもとで、関節リウマチに対する浄化療法の研究が始まりました。
 研究がスタートしてから3ヶ月が経ち、各患者の症状は改善してきており、協力しているほかの医療関係者も驚いておられます。

あわせて読みたいコーナー

PAGETOP