家庭崩壊から「美しき家庭へ」

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チリ  F・Hさん(25歳、女性)

〔父と兄を失う〕

 私の家族は、両親と4人兄妹の6人家族で、幸せな生活を送っていました。ところが1992年、突然、父が心筋炎による心不全と診断され、このまま良くならなければ、余命は3年から5年と宣告されたのです。その時から私たち家族は、父の死を受け入れなければいけないという苦悩の日々が始まりました。
 父は残された時間を家族と楽しく暮らし、思い出ある人生にしようと、前向きに日々を過ごしていました。しかし母は、最愛の夫を失う悲しみと不安からうつ病のような症状になり、ベッドから起きられない日も多くなりました。私も、父がいつ死んでしまうか分からないという不安がありましたが、心の奥にしまい込んで、前向きに考えようと自分に言い聞かせていました。
 さらに1997年、スポーツマンで、それまで何一つ病気をしたことがないほど健康だった兄(当時16歳)が、髄膜炎で突然死んでしまったのです。私は当時14歳でした。父と母の悲しみは測り知れないものだったと思います。その父も、2004年に亡くなってしまいました。
 何も悪いことをしていないのに、本当にいい家族だったのに、なぜこんな悲しいことが起きるのか、「神様の罰」なのか、私は自問自答しながら苦悩の日々を過ごしました。この出来事で、母のうつ症状は進み、家庭の中はさらに暗くなってしまいました。3歳年下の妹は、父が死んでからは、「父がいない家族なんて考えられない」と言い、友だちの家に行ってしまい、2ヶ月間も家に帰ってこない時期もありました。妹は怒りっぽくなり、悲しさと心の痛みを母や私に当たり散らすようになりました。4歳下の妹は、私と同じように悲しみを胸の奥にしまい込み、何とか前向きに歩いていかなければならないと耐えていました。私の心の痛みも癒されないままに、時は虚しく流れていきました。

〔抜け出せない苦しみ〕

 私は大学に進学しましたが、仲良くなった友だちにもこの苦しみを打ち明けることはできませんでした。打ち明けても何の解決にもならないと思っていたからです。“たとえ励ましや優しい言葉をかけてくれることはあっても、親身になって考えてくれる人はいない”“信じられるのは自分だけ”と考え、孤独を感じていました。
 そんな中でも私は好きな人と巡り合い、2004年に結婚し、翌年一児の母親になりましたが、出産前から私自身がうつ病のような症状になってしまいました。ついには何もやる気が起こらず、一人で過ごすことが多くなり、食事もただ食べているだけ、毎日鏡を見ているだけで、何のために生きているのか、全く分からなくなっていました。
 その一方で、もう二度と家族を失う悲しみは味わいたくないとの心の叫びから、息子が病気になったらどうしょうとか、息子に何かあったらどうしようとかを考えすぎてしまい、生活はすべて息子を中心にしたものになりました。夫は、こうした私の状況を温かく受け入れ、いつもそばにいて気を遣い、励まし、見守ってくれました。
 2007年11月ごろには眠れなくなり、無意識のうちに体中を掻きむしり、傷だらけになってしまいました。それに太っていたこともあって、その時“これではいけない”と、やっと自分に返ることができ、“この状況から何とか抜け出さないといけない”“以前のように明るく、エネルギッシュな自分に戻りたい”と思うようになり、藁をも掴む思いで、母と一緒に精神科、占い、手相、教会など、良いと聞くところは手当たり次第に探し求めていきました。

〔私が探していたのはこの健康法〕

 2008年4月ごろ、「ヨガ教室」の看板が目に止まり、MOAセンターに入ってみました。センターは私の家の近くで大学時代の通学コースにありましたが、これまで全く気がつきませんでした。
 スポーツジムだと思い、中に入ってみると、花が飾ってあって、整理整頓され、木調の内装の美しさに、“きれいなところだな”と思いました。受付の人に「ストレスが溜まっており、体重を減らしたいのでヨガをしてみたい」と告げました。
 すると「今日はヨガはやっていませんが、健康増進セミナーなら受けられますよ。一度体験されてみてはいかがですか」と勧められました。聞いているうちに興味が湧いてきたので、翌日から健康増進セミナーに参加することにしました。
 セミナーに参加し、はじめに医師から岡田式健康法についてスライドで説明を受けた後、浄化療法の体験といけばなの説明と体験、食事法の説明とお料理の試食をして、簡単なアンケートの記入をしてMOAセンターを後にしました。
 一番印象に残ったのは、応対してくれた療法士やMOA美術文化インストラクターやボランティアの方々の姿でした。一人ひとりが温かく親切に迎えてくれて、人の話を親身になって聞いてくれる姿に感動しました。“自己中心の人が多い現在の社会では考えられないような世界だな”と思いました。
 帰り道、肩のコリや重圧感が和らぎ、とてもリラックスしていることに気づきました。その時、“私が探していたのはこの健康法だ”と思いました。帰り際に、浄化療法の調査をセンターで受けられると聞いていましたので、毎週1回は浄化療法を受けてみることにしました。
 2回目の浄化療法を受けたころから、尿の排泄が頻繁になっていることに驚きました。浄化療法を受けている間に何度もトイレに行きたくなるし、家に帰ってからも排尿が頻繁になりました。浄化作用についての説明で、「体内にある不純なものが排泄されただけは健康を回復する」と聞いていましたが、“本当だ”と実感しました。そのことから、母にも、「MOAセンターというところで、エネルギー療法の一つだと思うけど浄化療法をやっているのよ。私も体験してみて良くなっているから、お母さんも行ってみない?」と誘い、一緒に調査に参加することにしました。

〔健康を回復し、家庭も変わる〕

 浄化療法を受け始めて2週間ぐらい経ったころ、体の調子が良くなり心も変わってきていることに気づきました。そうした結果から“岡田式健康法についてもっと知りたい”と思い、美術文化法や食事法について、療法士の方から教えてもらいました。
 特に印象に残ったのは食事法でした。自然の恵みに感謝して、新鮮な食材、季節の食材を食べること、自然の摂理に適った食事のあり方が大事であり、また主婦として家族の健康を願って心を込めて食事を作ることの大切さも教わりました。こうした考え方は、これまで聞いたことがありませんでした。食事の大事さを考えないで過ごしてきた、今日までの食スタイルを反省しました。私の家庭の食事は冷凍食品や缶詰、スパゲティーなどが主になっていたので、それをやめて、新鮮なもの、季節のもの、野菜を多く摂る内容にし、夫や息子の健康を考えた献立に変えていきました。
 また、美術文化法については、花にも環境を変える自然のエネルギーがあることや、「花は丁寧に見つめ、美しいところを探して、愛(め)で、そしていける」と聞き、私は今まで花をじっくり観察することがなかったので、とても印象に残りました。その後、家中に花を飾ってみると、3歳になった息子や夫が「きれいだね」と言ってくれたのです。私はとても嬉しくなりました。それからは、食卓や家の中に常に花を飾るようにし、家の中の美しい環境づくりに気を遣うように変わってきました。最近では、息子が「家がきれいになったね」とも言ってくれて、とても嬉しく感じています。夫とも、食事やいけばななどの家庭の話題が増え、コミュニケーションが良くなっています。

〔生きる意義を見つける〕

 私は、母親にも浄化療法を施術してあげたいとの思いからMOAに入会しました。また、MOAセンターで浄化療法のボランティアをするために、療法士資格にもチャレンジしました。
 今は、健康増進セミナーに療法士のボランティアとして参加しています。最初は、これまで多くの療法士さんから癒していただいたように、私もできるかなと不安がありましたが、浄化療法を施術すると、患者さんの表情が明るく、満足している様子や、「良くなった」と言ってもらえて、嬉しくなりました。
 ボランティアを通して、人のために役に立っているという実感が持てるようになりました。人のために尽くして喜んでもらえる、そして、私も人が喜ぶのを見てとても嬉しくなる、そのことが岡田先生の哲学にある生き方だと気づきました。これまで見失っていた、「人としての真の生き方」を見つけることができたと思っています。 “こんな人生って素晴らしいな”と思えるようになり、日々感謝しています。
 私は、MOAから多くの宝物をいただいたと思っています。

〔母の変化〕

 母は、一時、調査に参加できなくなりました。うつ病の症状が厳しくなったからです。私はMOAセンターのスタッフにお願いして、家に訪問してもらいました。それがきっかけで、母も継続して浄化療法を受けるためにセンターに行けるようになりました。スタッフやMOA健康生活ネットワークのみなさんの支えがあって症状も改善し、以前から好きだった庭仕事も楽しんでできるようになりました。10月になって母もMOAに入会しました。今では、「ネットワークのみなさんと一緒に、家庭菜園グループを作ってMOAセンターの敷地内に小さなモデルを作る」と言って張り切っています。まだまだ心の痛みは残っていますが、母もやっと前向きな人生を送れそうで、とても嬉しく思っています。
 MOAと出合わなかったら今の自分はないし、母や家族はどうなっていただろうと思うと恐ろしくなります。肉親を二人も失った悲しみや痛みはまだありますが、“この幸せを人にも与えてあげたい。人と社会のために尽くしていきたい”と強く思えるようになりました。
 私はカトリックの信徒ですが、岡田式健康法は人類すべてに対しての「光」だと思います。MOAが教えてくれた人としての真の生き方を、日常の中で活かしていくならば、もっともっとより良い家庭が築かれていくものと確信しています。

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