ペルー C・Uさん(64歳、男性)
〔職場や家庭内で孤立してしまう〕
私は長年、電気工事の下請けの自営業をしておりますが、2005年ごろより仕事が激減し、また個人の顧客もどんどん減っていく中で経営難に陥り、3人の従業員はもとより家族さえも養っていくことが困難となりました。私は、その心労とストレスで夜も眠れませんでした。ついには、仕事がうまくいかないのは従業員や家族のせいだと当たり散らしたり、責任転嫁するようになり、それがもとで周りの人たちは私に不信感を持つようになってしまいました。
2007年からはその症状がさらに悪化し、とにかく誰を見ても恐怖感を覚え、道を歩いていても、周囲の人たちが自分を奇異な目で見ているのではないか、何か危害を加えようとしているのではないかと考えるようになりました。
さらに、家族に対しても同じような考えにとらわれるようになり、家に帰っても、すぐに部屋に入って、できるだけ家族とは顔を合わせないようにしました。妻や息子たちもだんだんと私から遠ざかり、家庭内で全く会話ができない状態になり、寝る時は部屋で一人きり、食事は家族が寝静まった時や、家族が留守にした時に妻が作っておいてくれたものを食べていました。
このような状態ですから、職場でも従業員との関係がうまくいかなくなり、孤立してしまいました。
2008年2月、病院で精神科の医師に診察してもらいましたが、原因不明との診断で、精神安定剤と睡眠薬を処方していただき、カウンセラーを紹介していただきました。
しかし、症状に全く改善は見られませんでした。コミュニケーションが取れないことから家庭も崩壊したような状態で、仕事もうまくいかず、経済的にも危機的な状態となり、私の症状はさらに悪化していき、本気で自殺を考えた時期もありました。
〔MOAペルー療院との出合い〕
2008年4月23日、精神科の医師から「長い間、精神的に問題を抱えているので、体のどこかに異常があることも考えられる。とりあえず、血液検査と尿検査だけでも受けて、ほかの専門の医師にも診察してもらってはどうか」と言われたので、検査のため、市内のN診療所に行きました。
診療所を出た後、向い側にあった建物に掛かっていた「MOAペルー療院-医療サービスセンター」の看板が目に入りました。私は“もしかしたら、今の状態の助けになってくれるのではないか”と思い、立ち寄ってみました。
いつもなら、出かけた時は“とにかく早く家に帰って一人になりたい”と思うのですが、この日の私は立ち寄ろうという気持ちになりました。振り返るとこれはとても不思議な出合いだったと思います。
初めてペルー療院で岡田式浄化療法を体験した日は、精神的に一番ひどい状態でしたので、内容はほとんど覚えていません。しかし、自分でも不思議なことにそこへ足が向くようになりました。
〔療院の親身な対応〕
次の水曜日、今までなかなか口をきいてくれなかった妻も、めずらしく、「あなた今日は、少し気分が良さそうね」と声をかけてくれました。私が「今日は、MOAの療院というところで、セラピーを受けるので、これから出かける」と言うと、妻も「心配だから」と言って、同行してくれました。
妻と外出するのは何年ぶりだったでしょうか。本当はとても嬉しかったはずですが、そのころの私は、まだ気持ちを口に出すことも、態度で表現することもできない状態でした。
療院に着くと、スタッフの方から「ここでは統合医療を推進しており、その人に一番必要としている治療ができるように努めています。一度、医師の診察を受けてみませんか?」と言われたので、私は素直に医師に診てもらうことにしました。
診察していただいたM医師は、本当に親身になって私の話を聞いてくれました。「悩みを自分一人で抱えていたら、解決になりませんよ。私が協力できることは何でも協力します。そうすれば、それだけあなたの抱えている悩みが減るでしょう。心を開いて、何でも話してみてください。時間は気にしなくていいのです」と言ってくださり、私もそれが嬉しくて、素直に何でも話す気になれました。M医師は1時間にもわたって話を聞いてくれました。私自身も、ここ何年もこんなに長く話をしたことはありませんでした。
またM医師は、自ら浄化療法を施術してくださいました。そして最後に「精神科の医師から処方された薬を服用しながら、継続して浄化療法を受けてみますか」と提案されたので、私もそうすることにしました。なぜなら、現に、療院で浄化療法を受けることで、症状が軽減していると自覚していたからです。
それまでは、誰が何をしゃべっているのか、どういう顔をしているのかさえもほとんど覚えていなかったのに、そのころから、療院のスタッフや療法士一人ひとりの表情が記憶に残るようになりました。そして、私に対して親身になって考えてくれる人がいる、支えてくれる人たちがいることに気がつき、私はこの病気と向き合っていく勇気が湧いてきました。それからの私は、浄化療法を中心に、お花のセラピーなども受け続けました。
これまで睡眠時間が1日3時間ぐらいで、全く寝られない日もあったのですが、浄化療法を3回受けたころの5月はじめから、いつもよりよく眠れるようになり、気分良く目覚めることができるようになりました。
6月に精神科の診察を受けた時には、担当の医師から「精神的に安定していて、夜も眠れるようだったら、精神安定剤や睡眠薬の服用は必要ない」と言われました。今では薬を服用せず、普通の人のように生活できるようになりました。外出することも苦にならなくなり、自分でもびっくりするぐらい良くなってきました。同時に、周囲に対する恐怖感もなくなっていきました。
〔久しぶりに家族水入らずの食事ができる〕
6月ごろ、妻から「あなた自分では気づいていないかもしれないけど、最近笑顔を見せるようになったわよ、あなたのそういう笑顔を見るのは何年ぶりかしら」と言われ、はじめて自分が笑顔でいられるようになったことに気がつきました。また、口を聞いてくれなかった息子(28歳)が話しかけてくれるようになり、私と妻が療院に行く際には、車で送り迎えをしてくれるようになりました。
食事もこれまでは、自分の部屋で一人きりで食べていたのですが、ある日、妻から「あなた、久しぶりに家族そろって食事をしましょうよ」と言われ、何年ぶりかに、妻と息子と3人で食事をすることができました。
私は思わず感動してしまい、家族の前で泣いてしまいました。見ると、妻と息子も目に涙をいっぱいためて、「お父さんよかったね、次の水曜日も一緒に療院に行こう。」と言ってくれました。
今思うと、本当に私のことを心から心配し、悩んでいたのは、実は妻や息子だったのです。それなのに、私は“妻や息子が私を奇異な目で見ている。何か危害を加えようとしている”と考えていたことに対して、本当に申し訳ない思いでいっぱいです。
これからは、少しでもその償いができるように、家庭を大切にし、今度は自分が家族の幸せを願い、尽くしていける人生を歩んでいきたいと思います。
また、体が良くなっていくにつれて、7月には仕事も軌道に乗り、とても心配だった経済的な問題に対する不安もなくなりました。「Cさん、だいぶ体の調子が良くなってきたみたいですね。困ったことがあったら何でも言ってください」と温かい声をかけてくれるようになるなど、従業員との関係も少しずつ良くなっていきました。
〔多くの人に支えられ、今の自分がある〕
療院のスタッフの方々や療法士の方々には、本当にお世話になりました。特にM医師は、親身になって私のことを診てくれました。療法士や療院のスタッフの方々は、いつも私の体調を気遣ってくれて、毎回笑顔で温かく接してくださり、大きな励みになりました。一般の病院とは違うと感じました。
このように多くの人たちに支えられ、今の自分があるのだと思うと、本当に感謝でいっぱいです。
後で聞いたことですが、療院はボランティアの療法士の協力で運営していること、またボランティアの方は地域でもMOA健康生活ネットワーク組んで問題の解決に努めていることを知り、感動しました。療院に足を運んで、多くのボランティアの方々から岡田式健康法を受けていなければ、まだあのままの自分が続いていたのだと思うと、この不思議な出合いに対して、感謝しても感謝しきれないぐらいです。
〔夫人のコメント〕
2005年ごろから、夫の経営している電気工事の下請けの仕事がうまくいかず、毎日イライラしている様子でしたし、私が仕事のことに口出しすることを何よりも嫌っていましたので、私もできるだけそれには触れないようにしていました。
しかし、2006年ごろからは、仕事がさらに苦難に陥ったようで、夫の様子が変わってきました。最初はあまり気づかなかったのですが、落ち着きがなくなり、明らかに口数も少なくなってきました。それがだんだんとひどくなり、2006年末ごろには、私や息子ともほとんど口をきかなくなりました。家に帰ってきても、すぐに自分の部屋に入ってしまい、食事もほとんど取らなくなり、夜もあまり寝ていないようでした。何かに恐怖を抱いているようでもありました。夫はそれを自分でも気づいていたらしく、病院に通っていましたが、それでも症状は改善しませんでした。
一人で苦しんいる夫の役に立ちたいと思い、せめて食事だけでもと思い、作っておくようにしましたが、それも、私たちが寝静まった後に一人で食べていました。
そのような状態が長い間続いたので、私も息子も、“自分も気が変になってしまうのではないか”と思うほど、家族生活は限界に来ていました。
しかし、2008年ごろから何となく夫の行動や表情が今までと違うので、勇気を出して聞いてみると、MOA療院というところで治療を受けていると話してくれました。
そして、次第に夫が最近笑顔を見せるようになり、部屋にこもっている時間も少なくなっていることに気づき、「最近笑顔を見せるようになったね、いいことでもあったの?」と聞いたら、「今受けているセラピーが良くて、そこのお医者さんやボランティアの方々も本当に親切にしてくれて、夜も眠れるようになってきたし、食欲も出てきた。これからも続けてみたい」ということだったので、私も全面的に賛成しました。
それからは夫の体調や心理状況がめきめき良くなっていったので、私は「今夜は家族で一緒にご飯を食べよう」と言ったら、夫もそうしたいと言ってくれ、その日は、親子3人で何年かぶりに食事ができ、夫もそして私たち親子も一緒に食事ができた喜びで涙が出てしまい、食事の味も、そして何を食べたかも覚えていないくらい感動しました。
最近の夫は、それまで服用していた精神安定剤や睡眠薬も要らなくなるぐらいの回復ぶりで、仕事もどうにか軌道に乗り、今では以前のようにやさしく、笑顔の絶えない元の夫にもどりました。
これまでが本当に苦しい日々だっただけに、こんなに幸せな家庭に戻れたことは今だに信じられないぐらいです。
〔M医師のコメント〕
Cさんが療院に来られた時の様子は、今でも鮮明に覚えています。本人が語っているように、挙動不審で、明らかに精神的に問題を抱えていることが分かりました。
これまでに似たような症状を抱えている患者さんを多く診てきましたので、できるだけ力になってあげたい、岡田式健康法、特に浄化療法によって、改善を図っていきたいと思いました。
Cさんの一番の問題は、身近に相談相手がいないことでした。私はまず、時間を気にせず、できる限り話を聞くように努めました。
長い時には1時間以上になることもありましたが、それによって、問題の根幹である、経済問題や家族関係の問題などが見えてきました。
それからは、毎週1回浄化療法を中心に岡田式健康法を受けられましたが、3回目で劇的な変化が現れたことは、私自身、正直驚いています。
2008年7月ごろからは、仕事も軌道に乗り、精神的に大きな負担になっていた経済問題も解決に向かい、精神状態もほぼ正常と言えるほどに回復されました。
その間、岡田式健康法以外には、かかりつけの精神科医の診察を受けていただけです。