東京都　　Ｓ・Ａさん（65歳、男性）

〔喉頭ガン、食道ガン、初期の胃ガンが見つかる〕

　平成15年6月に、喉に違和感があったことから会社に紹介してもらい、Ｊ病院で診察を受けました。結果、喉頭ガン、食道ガン、初期の胃ガンが見つかりました。
　腫瘍の場所や大きさなどから、すぐの手術は難しいとのことで、放射線治療と抗ガン剤治療を勧められ、7月より入院することになりました。
　私の入院期間は、おおむね5ヶ月間で、ほかの人に比べると約2倍の長さでした。
　主な要因は幾つかありますが、それは、抗ガン剤の点滴（28回）をしながら、放射線（30回）を2ヶ所の患部に当てる治療が行われたことと、その治療によって白血球と血小板の数値が通常の人の1/3まで落ちるという副作用が出て、体力が衰弱し、治療期間が長引いたためでした。
　主治医から、「抗ガン剤の点滴と放射線治療が始まると、かなりの副作用が起きますよ」と、事前に言われていましたが、実際には、想像をはるかに超えるものでした。
　抗ガン剤投与が始まって5日目ぐらいから、放射線治療も始まりました。最初の1週間は耐えられましたが、その後は例えようのない体のだるさに襲われ、手足を動かすことさえ億劫になるとともに、喉に異変が出始めました。
　このような状態に続いて食欲不振も出始め、そのうち食事の臭い、香りさえも拒絶する状態となり、食べ物はおろか、水分の補給さえもできなくなり、かろうじて点滴で栄養を補う状態で、体力はますます減退してしまいました。
　空腹感も無い状態が46日間も続き、体重が激減するとともに、体温の低下、発熱、両肩の痛みなど、状況は厳しさを増すばかりでした。
　抗ガン剤投与開始後の中盤あたりから、体がつらい上に、今度は大さじ1杯くらいのタンが出始めました。最初は1時間に1回であったものが、時が経つにつれ、その割合が短くなり、30分に1回、10分に1回とだんだん短縮し、最後は10分に3回となり、体の衰弱した私にとって、さらに体力を消耗することになりました。ある日、大量の吐血で、ベッド脇の床が真っ赤に染まったこともありました。そして治療の後半は歩くこともできずに、車椅子の生活となりました。
　入院以来、家族をはじめＭＯＡのスタッフ、ＭＯＡ健康生活ネットワークの方々から浄化療法を毎日受けていました。浄化療法を受けると、つらい箇所も癒え、体中が軽く、楽になり、いつもこのような楽な状態が長く続けばと思っていました。しかし、3～4時間後には、また、元のつらい状態に戻りました。数十日間は、このような状況の繰り返しであったため、“この後、私はどうなるのだろう。体は大丈夫だろうか”と、いろいろと余計なことを想像したり、心配したりの連続でした。

〔ガン細胞が全て消える〕

　しかし、この後、大きな出来事がありました。
　きつくてつらかった30回の放射線治療、28回の抗ガン剤投与が終わり、一週間後に家族全員が呼ばれました。
　主治医から、壁一杯に張られたＭＲＩ写真や、超音波検査結果表を見せていただきながら説明を受けました。すると、「君のガン細胞は全てが消えたよ、無くなったよ」と告げられ、言葉では言い表せない喜びと爽快さがありました。
　そして、差し出された医師の手を両手で強く握り締め、何度も「ありがとうございました。ありがとうございました」と涙ぐみながら感謝を伝えました。
　その後、医師より「医学的には、手術の必要がないと考えますが、手術をしないことによる将来に対する漠然とした不安が日増しに重なり、ノイローゼになるなどの精神的ダメージを受ける人が多くみられる。これらを解消する意味から、再発防止の一番確実な方法として根治手術を勧めます。あなたのような症状の場合は7割の方が手術をしています。それによって再発の恐怖はほとんどと言っていいほどなくなります」というお話を伺いました。それで、体力が回復したところで、胃と食道の手術を受け、2回とも無事に終了しました。

〔１日平均2.7人から浄化療法を受ける〕

　振り返ってみれば、ガンの発覚直後、すぐに、ＭＯＡのスタッフが浄化療法の施術を徹底してくれました。それが、大きな力となりました。
　この年は、台風のよく来た年だったのですが、健康生活ネットワークの約10人の方が延べ200回以上に及ぶ浄化療法を施術してくださいました。時間も重ならずに来てくださったのは、連携を取っておられたのかと思いますが、とてもありがたかったです。ノートをみると、1日2.7人から浄化療法を受けたことになります。誠あるみなさま方から、1日も欠かすことなく受けることができた浄化療法の効果が大きいと、深く感謝しました。
　11月に退院となりましたが、退院してからの1年間は、必ず毎日2人くらいの方がわが家を訪問しては、浄化療法を施術してくださいました。浄化療法を受けると本当に楽になりました。寝不足だったり、極端に疲れると震えがくるのですが、その震えが止まったことが一番ありがたいことでした。
　その後もＭＯＡ高輪クリニックに2回入院し、浄化療法を徹底して受けました。その際、ガン専門医のＮ医師には大変お世話になりました。そして、「これからの8年は気をつけて」と言われました。また体重は、病気になる前は66㎏くらいありましたが、一時24㎏減の42㎏になり、今は、46㎏まで回復しました。

〔心の転機と家族の変化〕

　今回の体験を通して、今までいろいろなことで人を批判することが強かった自分自身を反省し、素直になろうと思いました。
　そんな折、2人いる息子のうち、事業を営んでいる方が、私に相談してくれるようになりました。今まで、息子の事務所に行くと“何で来たのだ”というような態度でした。それが、最近は、素直に話しかけてくれます。私の方が素直になったからではないかと思っています。私が少し変わったことを、息子も感じたのだろうと思います。
　息子は、「親父、酒でも飲んで来いよ」と言って、小遣いまでくれるようになりました。時々、電話もかけてくるようになりました。息子との新たな関係が始まったという感じです。
　平成20年10月20日、Ｊ病院で、手術から5年目の最終精密検査結果が出ました。医師より、「おめでとう。今から普通の生活をしていいですよ」と言われ、それまでの5年間が走馬灯のように思い出されあらためて今生きていることを実感し、夫婦、家族で心から喜び合いました。