第15回 岡田式浄化療法の科学的な証明

(一財)MOA健康科学センター理事長
鈴木 清志

本コラム2岡田式浄化療法の科学的な裏付けを簡単に紹介しましたが、今回は少し詳しくお話しします。(一財)MOA健康科学センターは、1991年の設立以来、浄化療法の科学的な研究に力を注いできました。

 

また、世界には多様なエネルギー療法があり、30年ほど前からさまざまな方法で研究されてきたのですが、今なお誰もが納得できる科学的な根拠はありません。生体エネルギーを正確に測定できる装置がなく、研究のための費用も少ないことがその大きな理由です。それでも私たちは、業務執行理事の内田誠也主任研究員を中心に、限られた設備と研究費をフルに活用して、世界に誇れる研究結果を発表してきました。

1.生体エネルギーとエネルギー療法とは

生体エネルギーとは、一般的には生体に内在する「非物理的なエネルギー」であり、それは身体的、精神的、感情的、霊的な幸福と密接に関わるものです。エネルギー療法は、生体エネルギーを促進させ、バランスよく、または滞りなく流れるようにすることで、より健康的な状態をもたらすとされています。

 

非物理的というのは、現代科学でその性質や重量などを測定できない未知のエネルギーだと言うことです。さらに「霊的な幸福」などと説明されれば、現代科学の頭で考える人たちから疑いの目を向けられるのも無理はありません。それでは今のところ、その未知のエネルギーの存在にどこまで迫れたのでしょうか。

 

2.浄化療法によって脳波が変化する

内田主任研究員は20年以上前から、浄化療法が人間の脳波や自律神経系に及ぼす影響を研究してきました。そして施術によって確かに脳波や自律神経系が変化し、その変化は単なる思い込み(プラセボ効果)では説明できないことを証明してきました。今回は、脳波に及ぼす変化をどのように証明したかを紹介します。

 

今まで浄化療法を受けたことのない19名のボランティア(平均年齢40.8歳、10名が女性)にご協力いただきました。経験のない人にお願いしたのは、客観性をより高めるためです。脳波の記録計とヘッドフォンをつけてもらい、施術者が見えないように壁に向かってイスに座り、施術者はその背中側に座ります。

 

施術を受けた人たちには、ヘッドフォンから聞こえる合図で目を開けたり閉じたりしてもらいました。その際、図1に示すように、1,施術をすると言って手のひらを施術者側に向けた時(「にせ」の施術)、2,施術をすると言って手のひらを相手側に向けた時(本当の施術)の脳波を、それぞれ15分間記録しました。

 

施術を受けた人たちは、「施術する」と2回言われたわけですが、そのどちらで本当の施術を受けたのかを尋ねても正しく答えられませんでした。

 

結果をまとめたのが図2です。リラックスすると脳波のアルファ波が増えるので、その変化の程度を色で表しました。頭を上から見た形で示しています。「にせ」の施術でも脳全体でアルファ波が増えています(1)。これは主として「施術を受けている」と思うことによるプラセボ効果だと考えられます。しかし、本当の施術を受けた時は、「にせ」の施術よりもはるかにアルファ波が増加したのです(2)。

 

本人たちはどちらで本当の施術を受けたのか分からないのに、脳波には明らかな違いが見られたのですから、浄化療法によってアルファ波が増える、つまり浄化療法にはリラックス効果があると言えるわけです。

 

詳しい内容を知りたい方は、国際的な統合医療関係の雑誌(J Altern Complement Med.2012;18:875-879)に掲載された英語論文、またはその日本語訳(一財)MOA健康科学センター研究報告集(2012;16:65-74)をお読みください。また、浄化療法が自律神経系に及ぼす影響については、(一財)MOA健康科学センター研究報告集(2008;12:27-34)に日本語論文が掲載されています。

 

それでは世界的にみると、エネルギー療法は科学的にどこまで証明されたのでしょうか。次回は特に興味深い結果についてお話しします。

【プロフィール】
すずき きよし
1981年千葉大学医学部卒。医学博士。榊原記念病院小児科副部長、成城診療所勤務、(医)玉川会MOA高輪クリニック・東京療院療院長などを経て、(一財)MOA健康科学センター理事長、東京療院名誉院長。(一社)日本統合医療学会理事・国際委員会委員長。94年日本小児循環器学会よりYoung Investigator’s Awardを授与された。

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