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奈良県奈良市
社会的処方について学び合う
「これからの医療とまちづくりシンポジウムin奈良」が3月20日、奈良春日野国際フォーラムで開催。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、入場人数を制限すると共にYouTubeでライブ配信され、多くの人が、心身ともに健康なまちづくりを進める上で重要な社会的処方について学び合いました。
自由民主党「明るい社会保障改革推進議員連盟」の学術アドバイザーを務める京都大学大学院医学研究科の近藤尚己教授が講演。心臓弁膜症の男性が手術後、退院したものの、病を発症した生活を改善できないまま逝去した事例を取り上げ、生活習慣の改善が図れない背景にある社会、環境のありように課題があると指摘し、地域の人とのつながりを処方して病気の予防、治療を行う「社会的処方」について解説しました。
孤立や孤独が体に悪影響を与えていることや、趣味の会などでつながりを持ち、運営者として生きがいのある人の死亡確率の方が12%低かったという研究結果などを紹介しつつ、利他の心を育む環境、役割と生きがいを持って生きる大切さを強調。そうした社会のつながりを資源と捉えるソーシャルキャピタルを高めることが、健康づくりには不可欠だとし、コミュニティーサロンなどつながりの場の提供、医療機関とMOAなどボランティア団体などとの連携構築が重要だと述べました。
自民党「明るい社会保障改革推進議員連盟」事務局長として、社会的処方の制度化に取り組んでいる佐藤啓参院議員が講演。社会的処方の意義を改めて確認し、その制度化の一環として、従業員の健康づくりに取り組む企業づくり、健康に資する住宅造りに取り組んできたことを紹介。特に、これまでの取り組みを通じて「経済財政運営と改革の基本方針2021(骨太方針2021)」に「社会的処方」が明記され、政府の重点課題となったことを伝え、主催者である健康生活ネットワーク奈良(森田浩代表)の活動自体が社会的処方であり、多くの人の健康づくりに資するものと語りました。
参加者からは「とても興味深く、その通りと思わせられる、わくわくするようなお話でした。地域でコミュニティーづくりに取り組んでいますが、より積極的に活動を進めたいと思いました」「看護師としてジレンマを抱えながらの日々で、こうした社会的処方をどんどん進めていかなければならなくなっていると思います。頑張ります」といった声が聞かれました。
主催した健康生活ネットワーク奈良は、県内約40の健康生活ネットワークで構成され、MOAインターナショナルをはじめとする個人・団体と協働して、統合医療の社会モデルとして、関西療院と連携し、一人一人の心身の健康から家庭、地域社会と一体となった健康づくりを目指し、生活の中での健康法実践をベースにコミュニティーづくりに取り組んでいます。会場となった奈良春日野国際フォーラムは、岡田式健康法の創始者である岡田茂吉が1954年、人間の本質にある利他の心を育む重要性について講演した奈良県公会堂跡地に建設された施設だけに、心身ともに健康なまちの実現を願った岡田茂吉の思いをもほうふつとさせるシンポジウムになりました。
社会的処方の詳細(PDF)についてはこちらからご覧いただけます。
主催/健康生活ネットワーク奈良、MOAインターナショナル、明るい社会をつくる会奈良支部