第2回 岡田式浄化療法の効果と安全性

(一財)MOA健康科学センター理事長
鈴木 清志

 岡田式健康法には浄化療法、食事法、美術文化法の3つの柱がありますが、今回は岡田式浄化療法の効果と安全性について、科学的・客観的な視点でお話しします。浄化療法は岡田式健康法の生命線とも言えますので、具体的な内容や理論などについて、ぜひ関連ページや浄化療法に関する書籍などでご確認ください。
 浄化療法は、専門的にはヒーリングタッチ、レイキ、外気功などと同じ「生体エネルギー療法」に分類されています。エネルギー療法の定義は、「施術者が自分の生体エネルギーを用いて、相手の生体エネルギーに働きかける非侵襲的(生体を傷つけないような)な療法」となっています。「エネルギー療法の基礎と臨床」という論文は、エネルギー療法の基礎的な知識や、どのように医療に取り入れるかをまとめたものです。2015年の日本統合医療学会誌に掲載されていますので、興味のある方は地域のMOA健康生活館などにお問い合わせください。

1.浄化療法を受けると症状が改善することが多く、安全性は高い

 浄化療法を受けると症状が楽になる人が多いのですが、つらくなる人もいます。浄化療法はどの程度効果が期待できて、どのくらい安全なのでしょうか。
 浄化療法の効果と安全性を調べるために、日本人6万人以上を対象に施術後の症状の変化を調査しました。それによると、7割以上の方は身体の痛み、不安、目まいなどの症状が改善したと答えています。症状が強くなったと答えたのは50人に1人以下で、ほとんどの人はそのまま様子を見るか施術を延長するなどして、数時間以内に改善しました。従って、浄化療法は症状を改善することが多く、安全性は高いと言えます。詳しい内容を知りたい方は、MOA健康科学センターのホームページから、研究報告集2012年の「岡田式浄化療法の効果に関する大規模アンケート調査」をダウンロードして下さい。この論文の原著は、2012年にアメリカの医学雑誌に掲載されました(Altern Ther Health Med 2012;18:38-50)。
 この調査結果には、興味ある内容が含まれています。女性が施術の効果を期待して、MOAの施設などで50分以上の施術を受けた時に、改善率が最も高かったのです。つまり、1施術への期待、2施術にふさわしい場所や雰囲気、3必要十分な施術時間─の3つが重要なのです。要するに、施術者の思いやりのある言動と部屋の雰囲気が、症状をさらに良くしてくれるのですね。

2.浄化療法は脳波や心電図を変化させる

 浄化療法は単なる精神効果、プラセボ効果だと言っているのではありません。MOA健康科学センターの研究によれば、本人に分からないように施術しても、施術中だけ脳波や心電図が変化するのです。施術者の生体エネルギーが相手の生体エネルギーに影響するという、科学的・客観的な事実です。詳しい内容を知りたい方は、MOA健康科学センター研究報告集2012年の「岡田式浄化療法が人の脳波に及ぼす効果」をご覧ください。この論文の原著も、2012年にアメリカの医学雑誌に掲載されました(J Altern Complement Med 2012;18:875-879)。
 他の生体エネルギー療法でも、施術中に身体にさまざまな変化が見られます。人でも動物でも、免疫細胞の機能などに違いが見られたとか、シャーレの中のがん細胞の増殖に差が見られたとかの報告もあります。でも世界中の専門家が種々の方法で測定しても、そのエネルギー自体はまだ証明できないのです。不思議だと思いませんか。
 まとめると、浄化療法による症状の変化には、エネルギー自体の効果だけでなく、施術をする場所や雰囲気、施術者との信頼関係などが関係すると言えるでしょう。

3.浄化療法を継続すると症状は改善することが多い

 今までは、一回の施術の効果と安全性の話でしたが、施術を何度も受けるとどうなるのでしょうか。施術を継続した時の効果について、日本では更年期症候群の患者さんにご協力をいただいて調査しました。40〜50代の女性が、女性ホルモンの低下によって目まい、動悸(どうき)、発汗、のぼせなどの症状に悩まされることを更年期症候群と言います。更年期症候群に対して浄化療法を3カ月間継続した時の症状の変化を調査したところ、施術を週に1、2回受けるだけも症状は軽くなったのですが、週に3回以上受けると症状は劇的に改善し、1年後も症状は落ち着いていました(MOA健康科学センター研究報告集2008;12:13-19)。
 毎日どのくらい施術を受けると症状が改善するのかと質問されることがありますが、施術をする人も受ける人も、集中力が続くのは1時間程度だと思いますので、通常は30〜60分の施術を週に3回以上受けると、症状が改善する可能性は高くなると思います。症状が重く、施術を受けると楽になるのなら、もっと受けた方が良いです。また多くの人の話を総合すると、施術を受けるだけでなく、施術をすることも症状の改善に役立ちます。施術資格をお持ちの方は、短時間でも良いから、施術をしてくれた方に施術をお返しするのが良いでしょう。

4.施術の際に注意すべきこと

 すでに述べたように、浄化療法は安全性が高いと言えるのですが、症状が重篤で不安定な場合は、一時的にせよ症状が強くなることがあります。施術中に具合が悪くなったら、すぐに施術を中断するとともに、必要なら主治医や療院などに相談してください。特に注意すべきは、気管支ぜんそくの発作時と精神的に不安定な時です。
 気管支ぜんそくは気道に慢性の炎症があり、一時的にせよ施術で症状が重くなると、呼吸ができず、危険な状態に至ることもあります。最近では良い吸入薬がありますので、こうした薬を常備しておけば、安心して施術を受けることができるでしょう。
 精神的に不安定で、特に本来飲むべき薬を飲み忘れた場合などは、精神的なパニックに陥ることがあります。処方されている薬は、服用しながら施術を受けるようにお勧めします。

【プロフィール】
すずき きよし
1981年千葉大学医学部卒。医学博士。榊原記念病院小児科副部長、成城診療所勤務、(医)玉川会MOA高輪クリニック・東京療院療院長などを経て、(一財)MOA健康科学センター理事長、東京療院名誉院長。(一社)日本統合医療学会理事・国際委員会委員長。94年日本小児循環器学会よりYoung Investigator’s Awardを授与された。

あわせて読みたいコーナー

PAGETOP